第39話 ガジェット購入
税金対策も兼ねて、わたしはデジタル文具を購入した。
パソコンは高い。そして経理処理が面倒だ。
その点、デジタル文具は10万円以内だから処理が簡単だ。
「ちょっとキーボードが小さいが……まぁ、携帯電話入力よりも楽だな?」
わたしは自宅でポチポチ快適な入力生活を手に入れた。
こうなると、ノートに文章を書くのは面倒。
プロットやキャラ設定を手書きするのも面倒だ。
気分を盛り上げるために買ったノートやペンの数々を机の引き出しに仕舞って、わたしはデジタル文具使いになった。
「会社で思いついたときには携帯電話にメモしておけばいいし」
Wi-Fiに接続できるから、携帯電話にメモした内容をデジタル文具へコピーするのも簡単だ。
「まぁ慣れれば、だけど。サクサク書けるのはいいねぇ~」
書籍も出たし、web連載の契約もとったが、収入のほうはたいしたことない。
「薄給の何でも屋事務員のほうが、年金とか保険のことを考えると収入多いってことだよね? 専業の小説書きになるには、今の年収の二、三倍の収入が必要って話らしいし。わたしの薄給でも、二、三倍を継続して毎年となったら大変だぁ~」
だから仕事はやめない。
副業でフワフワしながら書くほうが、わたしには合っている。
「でも残業はあまりしないし、週末はしっかり休みだし。わたしの場合、デートとかないから……」
フフフと乾いた笑いが出る。
金はないが時間はあるぞ、彼氏いないから!
しかも家事はママンがやってくれるぞ、子ども部屋おばさんだから!
一応、お金を家に入れているが、1人暮らしの家賃くらいだ。
「家事は自分の部屋の掃除と……オシャレ着洗い。あと、たまぁ~に、料理か。買い物の荷物持ちは……お父さんがいるからな」
わたしの両親は仲がいい。
だから別にわたしが買い物についていかなくても、問題がない。
「親戚付き合いも、特にないし」
今のところ、親戚付き合いは両親がしているし、兄は独身だ。
「時間があるというのは、贅沢だね」
SNSなどを見ていると、読んでいるだけでこちらが寝込みそうになるほど忙しい女性はいる。
「わたしには無理」
だから気楽に小説を書いたりして、久美子たちに構ってもらっているくらいがちょうどいい。
佐々木の顔がチラチラするのは気のせいだ。
わたしは新作の異世界恋愛ファンタジーの構想を練りながら「自分とは縁遠い世界だから楽しいんだよねぇ~」とつぶやいた。




