第35話 バレた!
なんだかんだとしている間に、わたしの初書籍の発売時期が近付いてきた。
イラストレーターさんはお任せだし、改稿やら校正やらが入ったが、基本は先方にお任せだ。
わけわからんし。
素人のわたしに出来ることなど限られている。
「これがわたしの本かぁ~」
紙の本は、出版社さんの取り決めにより何部か贈呈される。
電子書籍の場合には贈呈がないから著者も買わないといけないらしいが、わたしの場合には紙本もあるから贈呈分があった。
「ふふ。これで家族にバレるとは」
そうだ。バレたさ。
宅配便を受け取った母に、コレは何だ? と追及されてバレた。
堪え性のないわたしはゲロった。
ここまで秘密を守れたのが不思議なくらいだ。
母には宅配便を受け取られた時点でバレた。
父には内密に、と言っておいたが、なんやかんやでバレた。
秘密のない家族ってやーね。
父には「よっ、先生」とか言われて揶揄われたので腹パンしようかと思ったけど、痛いのはわたしだけなのでやめました。
恥ずかしいよぉ~。
何度ベッドの上を転げまわったかしれない。
いずれにせよバレてしまったもんは仕方ないので、わたしは開き直った。
両親に言われるまま仏壇へ初書籍を備えて、売れることを願った。
とはいえ、そこにいるのはわたしの先祖代々である。
期待はしていない。
「ヒット祈願に神社へ行こうか?」
父がそんなことを言いだした。
なんだかんだでよい家族である。
わたしは父の言葉にうなずいて、両親と共に神社へ行くことが決まった。
ただし兄には絶対秘密である。
あいつにだけは言わない。
久美子たちにこの話をしたら笑い転げられた。
解せぬ。
あと父には「確定申告だけはちゃんとしておきなさい」と言われた。
その話を久美子たちにもしたところ、彼女たちにもきちんとしおくようにと言われてしまった。
「勤め先にも言っておいたほうがいいわよ。会社員にとって、就業規則の確認は大事」
「……あ……」
会社には自らバラさねばならぬのか。
わたしがガックリと肩を落としてうなだれるのをみて、久美子たちはケラケラと笑った。
解せぬ!




