第27話 アドバイスに従ってみる
わたしは新作が読まれないことを久美子たちに愚痴った。
すると他サイトに投稿してみたら? というアドバイスを得た。
土曜日の午後。
もはや喫茶店感覚で使われている久美子の部屋で、わたしは説得されていた。
「小説の投稿サイトは沢山あって、サイトによって読者さんの好みが違うから結果も変わってくるのよ」
美香が力強く訴えてくるも、わたしの答えはコレだ。
「えぇ~でもぉ~メンドクサイ」
「もう明日香ってばっ」
怒られちゃった。てへ。
「まぁまぁ美香。明日香に期待しすぎた私たちが悪かったのよ」
「そうよね、久美子。だって明日香だもの」
「そうそう。明日香だからねぇ」
2人してうんうんと頷きあいながら、わたしを馬鹿にしてくる。
いつもの流れだ。
「だってぇ~、メンドクサイでしょ?」
「でもやるの」
「そうよ、明日香。やるの」
2人に迫られて、わたしは他の投稿サイトにも登録した。
そして小説を公開した。
久美子のパソコンを借りて作業したので、思いのほかサクサクと進んだ。
「やっぱりパソコンのほうが楽だなぁ」
「明日香の家も、パソコンを買ったんでしょ?」
久美子が不思議そうに聞く。
わたしは溜息を吐いた。
「それがさー、思っていたよりもお父さんがネットにはまっちゃって。なかなか使えるときがない」
「あぁ、そうなのね」
わたしの言葉に、久美子は頷いた。
「でもいいじゃない。趣味はあったほうがボケ防止になって」
美香は一言多い。
バランスとは難しいものである。
わたしは美香を横目でちょっと睨んだ。
久美子がすかさず声をかけてくる。
「ほらほら明日香、手がお留守よぉ。サクサクやってしまいましょう」
「ん、登録までは終わったよ。ねぇ久美子、小説の投稿も済ませちゃっていい?」
「どうぞ。済ませられることは、ココで済ませちゃっていけばいいわ」
私はお言葉に甘えて、久美子のパソコンで小説の登録を進めていく。
新作だけでなく、読まれたほうの小説も投稿すれば、そこそこは読まれるだろう。
「このサイトもお小遣い稼ぎできるサイトだからね。最初のサイトほどは稼げないけど、こっちのサイトはスカウトも盛んよ」
「スカウト?」
美香の言葉に私は首を傾げた。
久美子がサイトの別ページを開いて説明する。
「書籍化へのお誘いのことよ。ほら、ココ。優秀な作品については個別にスカウトがあります、って書いてあるでしょ?」
「ほうほう」
「スカウトされて、スカウトされた側がオッケーなら書籍化の作業に入るのよ」
「ふーん」
書籍化かぁ。
わたしには縁遠い話だな。
「書籍化すれば、お小遣い稼ぎよりも収入が期待できるわよ」
「マジで⁉」
美香の言葉にわたしの目の色が変わる。
「ふふ。でも期待のしすぎはダメよ、明日香。書籍化したからって、売れっ子になるとは限らないから」
「わかってるって」
実際のところは、書籍化作家が目の前に2人もいれば現実はなんとなく分かる。
書籍化してバンバン稼げるなら、美香は仕事を辞めてバリバリに働いているだろうし、久美子だって扶養家族にはなっていないだろう。
「わたしもそこまで期待してないよ。書籍化なんてムリムリ。でもお小遣いは欲しいぃ~」
わたしはそんなことを言いながら、ポチッとキーボードを押して、小説の公開処理を済ませた。




