第21話 師走にペン走らせる25歳
誰に文句を言われることもない、まごうことなき師走と言える年末進行の週末。
休日出勤はおろか残業もほぼしないタイプのわたしは、ノートにペンを走らせていた。
「えーと、盛り上げる、盛り上げる……」
作品は9万文字を過ぎた。
あと数千字書けば10万文字を超える。
「ここまでくると、早く完結させたいって気持ちもあるなー。でもそこに負けないで盛り上げろって言われたから……頑張らないと……」
わたしはノートに書いて携帯電話で入力というやり方のまま進めていた。
そのままパソコンで打ち込んだほうが早いのは早いのだが、改めて推敲するというのも面倒だったのだ。
ノートにいったん書いてから入力すれば、推敲も自然とできるし誤字脱字も見つけやすい。
いったん入力してしまったパソコン画面から違和感を見つけ出すのは大変だ。
ノートに書いて入力のパターンなら、そこは解決できる。
「でもこのノートを読まれたら、わたし死んじゃうかも……」
もちろん小説を書いていることは、美香たち以外は知らない。
このノートはまさしくデスノート。黒歴史となるのだ。見られたら死ぬ。
などと考えている間に、10万文字を過ぎた。
「んー、盛り上がってる? 盛り上がってるかなぁ~。盛り上がっているといいなぁ~」
わたしはノートを読み返してみる。
でも読んだところで内容が分かっているから、自分では冷静な判断はできない。
「もう年末だから、美香たちも忙しいくて相談しにくいし……まぁ、いいか。投稿サイトに公開してから、それを読んでもらって感想もらえば。公開できる頃には冬休みだもんね。そしたら隙間時間くらいできるでしょ」
わたしの年末年始の予定は、ほぼないと言える。
子ども部屋おばさん予備軍であるわたしの予定は、両親と共にあるのだ。
「冬休みに入ったら、大掃除の仕上げと、買い出しと、おせちの準備でだいたい終わっちゃうもんね。年始は年始で両親と初詣に行ったり、おせち食べたり、コタツでうたた寝しないといけないからなー」
そこは予定に入れていいのかという審議は受け付ける。
実家にいて両親しかいなくても、多少は空気を読まないといけないのだ。
そこにコタツでうたた寝を入れるかどうかは人それぞれだろう。
わたしの場合には「そんなところで寝てないで、寝るなら部屋に行って寝なさい」という突っ込みまで込みの、お正月はコタツでうたた寝なのである。
「まぁ細かいことは置いといて……ん、とりあえず公開しちゃおー。新着ランキングに入れたから、お小遣いももらえそうだけど、しょせんは素人の書いた小説だもんね。出来はそこそこで勘弁してもらって……」
無理はしない主義である。
「今回は美香たちからアドバイスをもらってみたけど。毎回コレはできないからなー。でもお小遣い稼ぎはできるみたいだし。継続しよう、継続。継続は力なり、って言うし。継続大事」
わたしは年末年始のレギュラーの予定と、投稿サイトで小説を公開していくスピードを考えながら、なんとなくスケジュールを立てた。




