第16話 わたし、なんかやっちゃいましたか?
「なにこれ⁉」
わたしはお風呂の準備を終えて、浴室へ向かう前に携帯電話の電源を入れた。
今日はバタバタしていたので、マナーモードにしたままだったのだ。
「うわっ、バイブも切ってたから気付かなかったっ」
着信件数も、メール件数もえぐい。
「ヤバ。なんかあったの? 久美子と美香からの着信が特に半端ない。あぁ、これは下手に電話すると怒られるパターン……」
頼りになる友人たちは、怒ると怖いのだ。
背中を冷や汗がダラダラ流れていくのを感じるが、きっと気のせいだろう。
気のせいでなくても入浴前だから、結果オッケー。
「お小言は聞きたくないなぁ」
大丈夫、大丈夫、と自分に言い聞かせてもリスクは避けたい。
「えっと……あ、久美子からのメールがある」
メールならいきなり怒声を浴びせてきたりしないし、文字だから平気だ。
わたしはメールを開いた。
そこには見慣れない文字が並んでいた。
「ん? 新着のランキング? なんのこと?」
どうやら昨日、予約公開を設定した投稿小説のことのようだ。
「なんだろ? 事前に確認せず、公開開始したからかな? 子どもじゃないんだから、自分の頭で考えて公開のタイミングくらい決めるよ」
わたしは勢いで行った蛮行であることには目をつぶって、なんとなくぶつぶつ言いながら投稿サイトを開いた。
こちらも何だかお知らせの通知がえぐいことになっている。
ぶっちゃけ、何も分からない。
「何が起きた……」
わたしは戸惑ったまま、メールの確認やサイトをチェックしたりして状況の把握に努める。
そして結論を出した。
「わたしの公開した小説がバズってる……」
携帯電話の画面を見ると、わたしの小説が新着ランキング1位になっていた。
「うわぁぁぁ……」
わたしは小さく悲鳴を上げると、たっぷりとかいた冷や汗を流すために、とりあえずお風呂へ向かった。




