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3話 国境の女将軍

久々になろう使ったらUIわからなすぎ浦島太郎で草。

「いやー……すごいなあ。直接触れずに、なんの触媒も使わずに磁場に物理干渉するなんて……」

「はじめてみましたよ。それにしても……今の型? みて思ったんですが、お兄さん、ひょっとして淀の人?」

「……ああ、神州の生まれだが。それがどうした?」

「ああ、やっぱり! 神州って、東州連邦の昔の呼び名でしょう。それでかあ……通りで」

「淀の末裔の人は霊性感能力が高いんですってね。巫女や剣客が昔はたくさんいたって」

「東の海の剣士は触れずにモノを斬る、って噂を聞いたことがありましたけど、まさか剣もなしに磁場干渉できるなんてね。正直、見るまで信じられませんでしたよ」

「神州ってあれか? 革命で滅んだっていう……」

「碧血隊?」

「それだ。正規軍相手にたった一部隊で叛逆したっていう、イカれた奴らだろ」

「たった200名足らずの中隊だったんだろ。それで2年粘ったって話。隊長は生身で火装戦車をぶった斬るような人外だったって」

「まさかなあ、そんな話——あれ?」



ーーーー昼下がりのラキトナ市街、香辛料と火装の熱気が混ざり合う路地裏。

人だかりの奥の屋台で、アスコがぐったりとしながらスプーンで麻辣湯をかき混ぜていた。


「……終了印、もらえませんでした」

「タダ働きか」

「タダ働きです……」

「だから言っただろ、“早くふけるぞ”って。危うくバレるところだ」

「だって、すごく困ってたじゃないですか……あああ、しびれるぅ……」

「それ、お前がやらかした分だ。ちゃんと全部食え」

「ひどい……人間ですか、あなた……」

「うるせぇ。今さらだろ」

「杏仁豆腐注文していいですか……」

「お前この流れでよく言ったね」

 

店先で湯気が立ち上る中、アヤナは周囲を警戒しながらスープを啜った。

—-追加注文の杏仁豆腐が運ばれてくるのとほぼ同時に、軍服を着た兵士が駆け足で店の中に駆け込んできた。


「ああ、居た! よかった!!」


その声に、二人はびくりと警戒色をあらわにした。


「申し訳ありません、そこの干渉師のお二人! こちら、終了印です! 押し忘れてしまって……!」


アスコがぽかんとした顔でスプーンをくわえたまま受け取った。


「わあっ、わざわざ届けにきてくれたんですか! でもどうして……」

「……俺たちがここにいるとわかった?」

 

兵士たちは息を整え、敬礼するように姿勢を正すと、こう告げた。

 

「少将閣下が、“そのお二人には必ず払うべきだ”と。先の経緯をご報告申し上げたところ、おそらくここにいるだろうから、と」

「方面軍第七管区司令、レティシア・マリア・フォン・エルネスト少将直々のお言葉です!」

「……っ!?」


アヤナが目を見開いた。

アスコも思わず、スプーンを咥えたまま「んぶっ」と変な音を立てた。

 

「なぜ……」

「なっ、なんで、そんな大物が……?」


兵士が敬礼を解くと同時に、背後から踏みしめるブーツの音が近づいてくる。

ゆっくりと現れたのは、豊かな金の巻き髪を肩で揺らし、抜けるような青の軍服を纏った女将軍。 

その眼差しは鋭く、それでいてどこか愉快そうに微笑んでいる。

 

「ふむ……剣も持たずに空間を斬る男に、スプーンで磁場を制御するお嬢さん。どうやら、聞きしに勝る面白い組み合わせのようだな?」

 

アヤナとアスコが同時に呟いた。

 

「方面司令官、レティシア・エルネスト少将……!?」

 

 

──次回、”再会”編へ続く。


第七管区方面軍……カルミナ連邦陸軍の地方配備部隊のひとつで、大陸南西部のトゥライナ王国国境地帯およびその周辺海域を防衛・監視する任務を担う。「火の理論」が実践運用された中でも最古参の軍団。

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