4、ディア=スチュワード
私はワルシャル家に仕える…
――――――否。
リベル様に仕える執事。名をディア=スチュワードと申します。
執事の一日は主人の一日に合わせて進む。
朝は早朝から起床し、主人が目覚める前に朝食の準備を整える。
主人が起きたら、衣装の準備や身支度のサポートを行う。
日中は、主人の外出に同行したり、家事や来客対応を行ったりする。
夕方になると、ディナーの準備や配膳を行い、主人がくつろげるようにサポートする。
夜は、主人の就寝の準備を整え、翌日に備えて家事や事務作業を行う。
主人が何不自由なく、快適に、円滑に、生活が進むように、一日を通して細やかな気配りを欠かさない。
主人に呼ばれたら、いつどんな時もすぐさま駆けつける。刹那の時も主人を待たせるわけにはいけない。
主人に命を下されば、その命令を完璧に遂行する。例えどんな命が下されようとも、死ねと命が下されば死ぬ、できないなんてことは許されない。執事に無茶など存在しない。
執事は、主人のために存在する。これ以外に理由は必要ない。
全てを主人に捧げる。
これが、幸せ。
なのですが…。
困った事がございます。
「失礼致します。」
「リベル様、おはようございまs…。いない。今日もいない。」
そう!!!!!!!!
いないのです。
毎朝、毎朝、どんなに早く部屋に行こうとも、既にいないのです。
昨日は、おやすみなさいと言い、そのまま部屋の前で夜を超し、朝まで部屋のドアを見つめていた。
部屋の出入りはなかった。
DE♪SU♪GA♪
いないのです。既にお部屋にはいらっしゃらないのです。
なぜですか!!!!!!何処に行かれたのですか!!!!!!
私は、常にリベル様のお側におりたいのです。
ですが、それをリベル様はお望みにならない。
ならば、せめて、
私はリベル様の衣装の準備や身支度のサポートを行いたいのです。
お着替えのお手伝いをしたいのです。スベスベの肌を堪能したいのです。
靴下を履かせたいのです。匂いを堪能したいのです。
歯磨きをして差し上げたいのです。お口を堪能したいのです。
「リベル様ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!」
「えっ…。どうなされたんでしょう?」
「何事です?」
「朝から賑やかですね」
「なんだ。いつものか。」
「大丈夫ですか?」
「コホン。」
私としたことが。少々取り乱してしまいました。
兎に角、私が今日行う事が決まりました。
今日は、リベル様の行方を探るとしましょう。
先ずは、リベル様が行きそうな所を見るとしましょう。
真っ先に思い浮かぶ所は……。
あそこですね。
―――――――ワルシャル城図書館――――――――
リベル様はこの場所が大好きですので、ここかと思いましたが…、
いませんね。
さて、次に行きそうな場所は……………………………………………………
だめです。
ここ以外に思いつきません。
そういえばこの前、
「魔術を好きに使っても大丈夫な場所、どこかにないかな?」と仰っていましたね。
まさか……
いやいやいや。
あのリベル様でも
流石に城の外に出るとかは…。
いや。あり得る。
あのリベル様だ。
魔術のためならば何するか分からない。否。何でもする。
城の監視をかいくぐり、城の外に出るなど、するに決まっている。
ですが、まだ城の外に出た確証はない。
ひとまず、城の隅から隅まで余すことなく探るとしましょう。
―――――――大広間――――――――
「リベル様!」
いない。
―――――――食堂――――――――
「リベル様!」
いない。
―――――――私室・寝室――――――――
「リベル様!」
「リベル様!」
「リベル様!」
「リベル様!」
「リベル様!」
「リベル様!」
いない。
―――――――男子更衣室――――――――
「リベル様!」
「「「「「「うおおっ?!」」」」」」
いない。
―――――――女子更衣室――――――――
「リベル様!」
「「「「「「キャーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」」」」」」
いない。
―――――――女子浴場――――――――
「リベル様!」
「「「「「「「「「「「「キャーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」」」」」」」」」」」」
いない。
―――――――男子浴場――――――――
「リベル様!」
「「「「「「「「「「「「キャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」」」」」」」」」」」
いない。
―――――――見張り塔――――――――
「リベル様ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「さまーー」
「サマー」
「sm-」
いない。
―――――――城内広場――――――――
「リベル様…。」
いない。城のどこにも。
と、なれば……
やはり、城の外に出たということですね。
こうなると探るのは困難ですね。
私の探知もリベル様には通用しませんし…。
仕方ありません。
こうなれば世界の隅から隅まで余すことなく探るとしましょう。
待っていてください。リベル様。
リベル様が行く場所、どんな場所でも、私、ディア=スチュワードは行きましょう。