2、転生
ぼくは死んだ。
生前死んだ後どうなるか調べたことも考えたこともあった
――天国
善い行いをしたものが行く場所
――地獄
悪い行いをしたものが行く場所
――無
何もない何も感じない無いということも認識出来ない
そして
――転生
別の形に生まれ変わること
ぼくは無だけは嫌だと思っていた
何も感じ無いのは退屈だ つまらない
現状、感覚はある。
横になっているのだろう
無ではないことは確信した
てことは
天国か、地獄か、はたまた転生か。
いや、その前に閻魔との謁見か?
それにしても
ふわふわしてるな
相当待遇が良いんだな。
生前はこんな上等なもので寝たことなんか無い
気持ちいい。
「――、――」
声が聞こえる
女の人だと思う
テンションが高い 賑やかだな
そっと瞼だと思うものを動かしてみた
強い明かりでぼやける。
だんだんと辺りが認識できる
天井にはカラカラなるおもちゃと豪華なシャンデリアがつるされている
辺りを見渡しても豪華な家具が並んでいる
美術館や本で見るような有名な芸術作品も見える 美しい。
部屋がとてつもなく広い
いきなり天国か?
「――、――」
そんなことを考えていると人が近づいてきた。
メイド服を着ている。
ロングスカートで黒を基調としていて純白なフリルが映える。
そして
なんかでかい
胸はでかくない
Bくらいか?
いやいやいやいやいやいや
人ってこんなに大きかったか!?
思ってるうちに人はそばにいた。
そして手をこちらに向かわせてきた。
結構怖いぞ
ぼくは思わず構えてしまった。
ごおおおおおおお
身体に浸透する重低音が響いた
構えた瞬間、なにか危ない予感がしたのでとっさに身体ごと向きを変えた。
正解だった。
変えていなければ今頃人が跡形もなく消滅していただろう。
あの壁のように
ぼくの指先から黒い火球が出てきた。
光も脱出できない。全て飲み込むような黒だ。
どういうことだ。
ぼくには魔力がないはずだ。
魔術は使えない。
それに黒い火なんて見たことない。
困惑して目線をあちらこちらに移していると大きな姿鏡が目に入った。
そこに写っていたのは
小さな身体、短い手足、くりっとした大きな目
愛くるしい赤ん坊だった。
ぼくは身体を動かしてみた。
すると鏡の中の赤ん坊も同じく動いた。
確定だ。
ぼくは転生した。