第五章:平穏だった日々は遠のいていく。
(……んっ)
ふと目が覚めて、身体を起こした。
「すぅすぅ」
隣では規則的な寝息を立てているリルがいて、離すまいと袖を掴んでいた。
だけど優しく触れ、静かに解いていく。
そのまま部屋を後にして、リビングに足を運んだ。
「……なんだい、起こしたか」
そこには人間の身体を手に入れてから姿をみかけない、家主であるアークリルがいた。
「いえ、そんなことは」
暖炉の前でゆったりとソファに腰かけていたアークリルは、驚いたように視線を向けてくる。
「……まさか、言語まで話せるとは」
「ただリルの言葉を、耳で何となく」
「長年と生きてきたが、まだまだこの世界は知らないことばかりだね……」
ほくそ笑むようにアークリルは頬を緩め、視線で普段から使っている一脚へと促してくる。
「見たところ異変はなさそうだね。他にも……」
顎先に手を当てるアークリルの視線は、舐めるように頭のてっぺんからつま先までを往復していく。
「やっぱり、珍しいんですか」
この身体を手に入れて、初めての時と変わらない。
こうして言葉を発せられるようになり、改めて面と向かって訪ねる。
すると、アークリルはゆったりとした動作で脚を組んだ。
「そんな安っぽい言葉では片づけられないよ。亜人種といった祖先に魔物と交わり、産まれてくる子がその血を濃く継ぐことがある。その特徴として身体的な骨格、人並外れた運動神経といったさまざまさ」
「な、なるほど」
何となくだが頷いておく。
「って、こんなことを説明したところでわからないか」
「ご、ごめんなさい」
けど今度は、打って変わって謝る始末に。
「別に謝ることじゃない。あたしもつい話し相手ができたことに浮かれてるのかね」
乱雑に髪をかくアークリルは、足もとに集まってくる魔物のような存在達に視線を向ける。
「キュキュ」
「別にアンタ達に不満があるわけじゃないよ」
「キュキュ」
「ああ、本当だってば。……って、群がってくるんじゃないよ!」
似た個体をしているから判別しづらいが、この家にいる全部がいるのではないだろうか。胴体が細長くて白いから、床の上をうにょうにょと蠢いて別の存在にみえてくる。
ただ、主従といった関係の仲ではなさそうだ。
「今さらですけど、この子達とはどういったアレで?」
「……ん? どうみてもただの魔物だよ」
一瞬考える素振りをとったアークリルだったが、思いだしたように一匹を掴んだ。
「とはいっても、この森で元々生息していた一匹でね。珍しいことに豊富な魔力量と知性を有していたんだ。ここにあたしが住むにあたって闘ってね、こうなったわけさ」
「はぁ……」
状況が理解できずに、生返事をしてしまう。
それにアークリルはこめかみに人差し指を当てて唸りだす。
「わかりやすくすると、コイツの縄張りをあたしが奪ったのさ」
「その割には、しっかりと関係が築かれてますよね」
「ま、その辺は弱肉強食の自然界で生まれ育ったからじゃないかね」
アークリル自身もわかっていないのか、肩を竦めてみせた。
「……それで、何かあたしに用があったんじゃないのかい?」
すると、アークリルは話題を変えてきた。
(何でもお見通しなのかな……)
どう伝えたものかと考えてしまうと、次々と疑問が湧いてくる。
「まあいい、あたしも引き籠ってばかりじゃ埒が明かないと思っていたんだ。何か訊きたいことがあればいつでも声をかけてくれ」
「わ、わかりました」
席を立ったアークリルは、それだけを言い残してリビングを出て行ってしまった。
(……これって、怒らせたわけじゃないよね)
様子からしてそうは感じなかった。
こういった機会を設けてくれる辺り、そうであってほしい。
「……リルが起きたかな?」
耳が捉えた微かな衣擦れる物音に、一度思考を切り替えて寝室へと戻った。
「もぉ! どこ行ってたのッ!」
「ご、ごめん」
そこには寝惚け眼を擦るリルが、頬をパンッパンに膨らませていた。
(……こ、今度から気をつけよう)
アークリルに訊きたいことは色々とあり、中にはリルに関する話題もある。
それを直接リルがいる時に訊くのもおかしなもので、こうして寝入ったタイミングを見計らっていた。
隣に来るようにベッドを叩くリルに従い、再びベッドに潜り込んだ。
それから、アークリルの姿をよく見かける機会が増えた。
「アンタ、ちょっといいかい」
リビングでご飯を食べていると、ボサボサの髪にだらしない姿をしたアークエルが声をかけてきた。
寝起きなのか声が掠れていて、軽く咳払いをする。
「アークリル、おはよう!」
「お行儀悪いよ」
反してリルは勢いよく椅子の上に立ち、元気いっぱいに挨拶をした。
「ん、リルも元気いっぱいだね」
けどそんな事はアークリルには関係ないのか、空いている一脚に腰かけると視線を向けてくる。
「……今さらだけど、アンタに名前がないと不便だね」
本当に今さらな気がした。
けど、特に不便だとは思っていない。
大抵の会話相手はリルで、こうして共に生活をしている。魔物の姿をしていた時は言葉どころか、何もかもが違っていた。
だから支障を感じていなかったが、実際のところはどうなのだろうか。
視線をリルに向けると、珍しく真顔だった。
「ほら、リルだって困ってたようだよ」
「……そう、なの?」
恐る恐るリルに訪ねると、小さく首を縦に振った。
「だって、前はワンちゃんだったけど、今は違うから……」
「……そっか」
改めて事実を突きつけられ、胸の奥がざわついた。
「ちなみに訊くけど、名前があったりするのかい」
「いや、ないけど……」
そう。
だって、気づいたら狼の姿をしていたのだ。
右も左どころか、ここがどこなのか。どうしてここにいるのか、何をすればいいのかわからず、生きることに必死だった。
今となってはその生きる理由を、リルを守るためになってきている。
人間だった記憶は薄っすらとだが、今さら思いだせない。
「とりあえず、リルが名前を付けてやりな」
「リルが?」
「その方がアンタもいいだろう」
そう問われても、どうしたものかわからない。
再びリルに視線を向けると、何かを求めるように見つめてくる。
(これは、そういう事なのかな?)
決して嫌というわけではなく、返答に困ってしまった。
そのわずかな沈黙が、リルの表情を曇らせていく。
「違うの、リル! 別に名前を付けてもらうことが嫌とかじゃなくて、えっと、今さら気にしてこなかったから……どうお願いすればいいのか」
気づけば堰を切ったように捲し立てていて、体勢も前のめりになっていた。
驚いたように翠眼の瞳を丸くさせ、お互いに見つめ合う。
「リルでいいの?」
微かに震えたリルの声が耳朶を打つ。
「リルがいいの」
だからそれに、落ち着いた声音で返事をした。
「わかった。しっかり考えるね」
「お願いするね」
今度は芯の通った、真面目な表情を向けられる。
こればかりは茶化すでも、言葉を違えるような事はしない。
「んま、リルもあまり根をつめないことだね」
「うん」
今までにない真剣な表情を浮かべるリルに、かける言葉が見つからなかった。
(……なんか、荷が重いことをさせちゃってるよね)
後になって少しだけ後悔してしまうが、いつかはと避けては通れなかったのかもしれない。
それでもやはり、どういった名前が付けられるかという期待が勝る。
それからリルは黙り込み、賑やかだったアークリル家は静けさが増していった。
食事を済ませて、リビングから温室へと移動してきた。
用意された白の丸テーブルを囲い、アークリルに視線を向ける。
「……何が狙いなんですか」
「いや別に」
悪びれた様子もなく白を切るアークリルを睨みつける。
「あたしは単純に、アンタの名前は必要だなって思ったからだよ」
「確かにそうかもですけど……」
実際はそうなのかもしれないが、そのせいで膝の上が少しだけ寂しい。
「……」
「キュキュ」
同じく温室についてきたリルだが、少し離れた場所で色々な本と睨めっこしている。
パラパラと捲っては閉じ、世話焼きの魔物が運ぶ本を手にしていく。
一冊を熟読するというよりは、流し読みで気になる単語でも探しているのだろう。
「あ~あ~希少価値の高い魔導書や文献が」
今のリルからすれば文字列で、内容なんて二の次三の次なのだろう。投げて雑に扱うことはないが、アークリルの呆れた様子からそれ相応なのだと窺えた。
(もしかして、その内の何冊か勝手に読んでたりしないよね)
いつもどこからか本を持ってきていたリルだが、勝手にアークリルの部屋に入っていたりしないだろうか。
これまでの色々な行動に不安を覚えていく。
「さてと、ならこっちはこっちで積もる話でもしようかね」
アークエルが手を叩くと、一匹の魔物が俊敏な動きで温室を去っていく。
「まったく、本能に正直というか、やっぱり魔物のはしくれだね」
独り愚痴るアークリルに視線を戻す。
「アンタがどうかわからないけど、いち狼の魔物としてはどうなんだい」
「……どうって、どういうことですか」
「リルだよ。あれだけの上質な魔力を持つ少女が、美味しそうにみえているのかい」
「ッ!?」
言葉の意味を理解して、椅子を蹴って立ち上がっていた。
「何言ってるんですか。冗談でも――」
「生憎と冗談じゃないだよ。見てごらん、うちの魔物達がリルの傍を離れたがらない」
気にはしてこなかったが、リルの周りには常に一匹はいる。食事時ともなると、積極的に料理を食べさせようと運んでいる光景が当たり前。
「それは自分よりも格上で、魔力の質も良い。喰らうことで自身の力を高められるって本能が告げてるんだろうね」
「じゃあ、この状況は……」
「危険ではある」
それを耳に、背中にトレーを乗せてお茶の用意をして戻ってきた一匹を睨みつける。
(……コイツも)
咄嗟に手が出ようとしたが、素早い動きで交わされてしまった。
「こらこら落ち着け。何も今すぐどころか、襲われることはない」
「……どうして言い切れるんですか」
露骨に溜息を吐くアークリルは、逃げ惑っていた一匹に手を伸ばす。
するとその手を足場によじ登っていき、テーブルにトレーを置いた。
「私には逆らわない。それどころか、力の差を明確に理解している。こうして身の回りの世話だって、コイツ等が率先とやっているんだ」
「じゃあもし、アークリルがリルを襲えと命じたら?」
ポットを器用に持ち、カップに赤茶色の液体を注いでいく。
「それ以前さ。そう命じたとしても、あたし同様に敵わないとわかっている」
「だから襲わないと?」
「逆にアンタは、襲われるよ」
喉を低く鳴らすアークリルは、あまりにも不気味に思えた。
(あくまで、リルの付属品ってことなのかな)
それはどうでもよかったが、話しの掴みどころが見つからない。
「その様子からして、アンタは他の魔物とは違うんだろうね。こうして人間の姿をして、言葉だって話せる。リルもだけど、アンタも何者だい」
スッと目もとを細めて見据えてくる。
「何者って言われても、私もわかんないよ。リルの事も、アークリルなら何か知ってるかなって訊きたかったんだ」
「そりゃ残念、あたしには息子や娘どころか身よりはいないよ」
「……ごめん」
「いや、謝られても……って、そういった常識はあるのかい?」
「いや、ただ何となく謝った」
そう告げると、アークリルは肩を落とした。
「たく、だから余計にわからなくなる。魔物なのか、人間なのか。いくら文献を漁って見つからないし、過去にないとなるとどう扱っていいかわからない」
言葉を濁すどころか、面と向かって本音を告げられると困ってしまう。
「じゃあ今、アークリルはリル達の事をどう扱ってるの」
「観察対象」
間髪入れない返答に、どこか得心がいってしまう。
アークリルは【雪原の魔女】だ。当人も長年生きてきて文献を読み漁っても、扱い困るほどの存在として認識している。
だからこうして自身の家に住まわせて、観察しているのかもしれない。
敵か味方か。
最悪な可能性が脳裏を過ってしまう。
「もし危険だと判断したのなら、今すぐ逃げても構わないよ。あたしは追わないし、このことは王都の騎士団やギルドにも報告しない」
まるで心の内を見透かしたかのような口ぶりで、アークリルはゆっくりと瞼を閉じる。組んだ脚の片膝に両手を乗せ、世話を焼く魔物達もリルの傍を離れていく。
(明らかに誘ってる)
似たような状況に、魔物だった頃に何度か遭遇している。
やられた振りをして、余裕ができた相手の隙を突く。
手負いの仲間を餌に、襲ってきたところを集団で喰らう。
一見隙だらけのようにみせて、周囲に無数の罠を張って待ち構える。
生き残るために知略を尽くしては、襲いかかる脅威を退けていく。
喰うか喰われるかの、弱肉強食の世界では日常茶飯事。
ここで動くことが得策ではないと感じつつ、離れた場所にいるリルの元に駆けつけて守りきる想像ができない。
せめてもと、拳を握り締めていた。
「……二人とも、どうかしたの?」
すると、リルの声が耳に届いた。
「いいや、何でもないよ」
「……そう」
視線を向けてくるリルに、握り締めていた拳を開く。
「アークエルが今日のお菓子はクッキーにするんだって!」
「リルのアップルパイ!」
いつも本を読んでいる時のお供に、リルがお菓子の用意をしてもらっている。どれも食べたことのないモノばかりで、楽しみの一つでもあった。
そして今日は、アップルパイというのをお願いしている。
勝手に変えられたことに、リルは読んでいた本を手放した。
「なに、いつの間にそんなこと決めていたんだい」
つい最近まで自室に閉じこもっていたアークエルからすれば寝耳に水だろうが、リルからすれば重要なことだった。
「悪かったよ、あたしは知らなかったんだ。アップルパイでいい」
「もぉ」
頬を膨らませたリルだったが、アークリルが折れたことに納得したのだろう。すぐに視線を本へと戻して、ページを一心不乱に捲っていく。
「まったく、アンタが危惧することは一切ないって」
「そう、だと……信じます」
蹴ってしまった椅子を戻し、腰を落ち着かせる。
「アークリルにとって観察対象なら、一つ訊いていい」
「むしろいくらでも」
さっきまでの空気からガラリと一転して、興味津々と食いついてくる。
勝手にではあるが、リルの鞄から持ち出してきた黒い石。
「火打石?」
「そういう名前なんだ。……ちなみに使える?」
「火を起こすくらい別に使わなくてもいいけど、まあ……」
アークエルは紅い瞳を丸くさせる。
「それって、庭先のアレを燃やせるくらい?」
庭先に植えられている、幹の太い一本の針葉樹林。ガラス張りの温室からはよくみえ、スッと指差す。
「それはムリだ」
真顔で否定してきたアークエルだったが、恐らくその反応が普通なのだろう。
(じゃあ、リルは……)
気づけばアップルパイを頬張っているリル。
「リルは軽々と燃やしますよ」
「はぁ……?」
決してさっきの仕返しで冗談は言っていない。
あの時リルは、アークエルが想像できない火力を、この石で起こしてみせた。
顎に手を当てて考え込み、アークエルはリルへと視線を向ける。
「リル自身魔力の制御ができていない。もしくは……それなら色々と納得がいく」
眉間にシワを寄せ、表情を険しくさせていく。
「ここら一帯に張り巡らせている結界の一部、ちょうどリルが倒れてた場所……。あそこを中心に綻びが生じて、この場所へと繋がった……」
独り言なのか、アークエルは両手の指先を合わせて考え込んでいく。
「その時の状況を詳しく教えて貰えるか?」
「私はただリルに言われた通りに歩いただけで……何度か同じ場所は通ったと思う」
「それから?」
「……それから? えっと~倒れる直前辺りから言動がおかしくなったかも……」
アークエルの中で必要な情報なのか。
ただ事実として、それしかない。
「ちょうどいい。何を言っているかわからないだろうけど、リルの事にも通じる。話だけでも頭の片隅に留めておきな、今後必要になるかもしれないよ」
「う、うん……」
真剣だった表情は変えず、纏う雰囲気に深みが増していく。
「この発火石。一見ただの石ころではあるが、火を起こすために必要とされている」
軽く擦り合わせる素振りをしながら、アークリルは話を続ける。
「ただそこには摩擦だけではなく、精霊の力も生じている」
「精霊……」
目を細めて、アークエルが手にする発火石を見つめる。
だが、どこからどうみても黒い石でしかない。
「まぁ、普通は目に見えない存在なんだけどな」
急に鼻で笑われてしまった。
「アークエルには見えているの?」
眉根を寄せてアークエルを見据えてしまう。
「時と場合に寄るかね」
手もとの発火石を弄ぶように、アークエルは肩を竦める。
(……で、結局は見えているのかな?)
余計に謎が深まっていく。
「そう。一般的な反応としてはそれが正解だ。精霊の元となるモノはマナで、それらは万物にありながらも容易には知覚できない。……この辺は力の強弱、周囲の環境にもよって視認できる場合もある」
喉を潤すように、紅茶が注がれていたカップに手を伸ばす。
「その精霊にも火、水、雷といった属性が様々あって、好みもある」
例えるためか、アークエルは取り皿のアップルパイにフォークを刺した。それが大小と切り分けられ、世話を焼いていた魔物の前に移動させる。
それを前にして、魔物は視線を左右に動かす。
「お食べ」
そう告げると、魔物は大きい方に飛びついて食べ始めた。
「話を戻すと、この発火石は火を起こすために使用する。それ故に火の精霊が好み、使用するために力を貸してくれる」
残った小さい方のアップルパイにフォークを刺し、アークエルは視線をリルへと向けた。
「それに加えて自身に流れるマナの量。キャパを超えた過剰使用の前兆として言動がおかしくなり、視界も曖昧になっていく」
食べ過ぎてテーブルで横になる魔物のお腹を撫でる。
「終いには、寿命を縮めることにもなる」
アークエルの一言に、息を呑んでしまう。
(もしあの時、アークエルが現れなかったら……。リルはあのまま……)
想像しただけでゾッとしてしまう。
「リルの場合は自身のマナはなくとも、体質的に愛されやすいのかもしれないね」
「……リルの体質?」
「特にこの土地は自然のマナで溢れていて、ほんの些細な魔道具だろうと機能を十分以上に発揮する。それにリルの体質が合わさると、十分どころか爆発的な力を生む」
だからただの発火石であろうと、あの火力になったのだろう。
「その辺も含めて、リルは非常に珍しい観察対象だよ」
喉を低く鳴らして笑うアークリルは、おもむろに席を立った。
「ホント、アンタも面白いよね」
「……ど、どこが?」
急な話題転換に反応が困ってしまう。
「元は魔物で、今は人間の身なり。知性と理性があって学習能力は高く、リルの事となると過保護気味」
肩越しに視線を向けてきたアークエル。
「……ふふっ、魔物なのか人間なのか。どっちなんだい?」
妖艶な笑みを浮かべて、紅い双眸が怪し気に輝いてみえた。
「とま、アンタも暇だろ? よければあたしが色々と教えてあげるよ」
それは願ってもない申し出で、自然と首を縦に振っていた。
「よろしく、アークエル」




