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竜の民  作者: とんぼ
二章

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78/152

諦めが悪い

短めです


※二週間の調査じゃなく、1ヶ月かかるって設定していたのに気づいたので修正しました。



ジークハイン様の言うとおりに城に滞在してからずっと、話の方向がズレにズレているので、ロルフとかいう男に関する言い訳を聞く前に『調査』について話をつけたくて、先にことわりを入れさせて貰った。

ミグは今朝の話し合いにいなかったので詳しい事情は知らないだろうに『その方が良い』と深く同意してくれる。良い奴だ。


当のジークハイン様も考えを改め、気を取り直す咳払いをした後、決まったことを教えてくれた。

時間がかかるので調査には移動も含めて最低一ヶ月と少しかかる、というので任せることにする。

もとより長期戦を覚悟していたので、時間をかけてくれるというなら文句なんてない。

調査するのはひとまずビザンチンに出来ている集落について。

正確にその規模を知ることと、なぜ集落ができたのか、また、そこで何をしているのか、の調査が主体となるという。

もちろん、竜がいれば私に教えてくれる。


想像していたよりちゃんと調査してくれるんだな、という感想は胸にしまってジークハイン様の言に頷けば、細長い菱形の宝石が入った筒を渡された。

細かい金属の網でできている筒から垣間見える淡い緑の宝石は、その表面に文字のようなものが刻まれていて、その文字が淡く光っている。

彼曰く、共鳴石、だそうだ。


「私と対になっていて、声で連絡ができる。シシーが話す時は筒の上を押し、こちらから話す時は下を押せばいい」

「手紙じゃないのか?」

「今回は機密だ。外部に漏れては困る。それに、ヒュミル山脈に飛ばせる伝書鳥も配達員もいない」


言われてみればその通りだ。スノッリの冒険者ギルドを通すのも時間がかかるし、すぐに連絡が取れるというなら有り難いので、渡された共鳴石をズメイの鞍に結ばれている荷物の中に入れた。

ずっと身につけていられるよう、肩からかける専用の鞄を作っても良いかもしれない。


「連絡が入ると石が点滅するから、気にしていてくれ」

「分かった」

「話し合ったことはこれで全部だが、他に聞きたいことはあるか?」

「…もし、あの集落に竜がいたら私も行って良いんだよな?」

「、ああ。ただ、その時はうちの者も何人か同行させてもらう」


少し言い淀んだジークハイン様に首を傾げる。

監視目的だろうか。まあ、別に良い。

見られて困るものは何も無いのだから。

さて、もう一つ気になっていることを聞かせて貰おう。


少し離れたところで羽交い締めにされたままの男に視線を移せば、ミグが『先にかいつまんで話すと』と手を上げた。


「シシーの体、魔獣と同じように魔力が循環しているらしいんだ」

「じゅんかん?」


聞き慣れない言葉に聞き返せば、どう簡単に言おうかと悩むように茶色い瞳が伏せられ、顎を指で包んだミグが思いついた様に頷く。

曰く、私の体の中で、魔力が血液のように回っているという。

その特徴は魔獣と同じで、通常の人間の魔力は心臓近くに集中している。

魔法を使う時は、呪文によって心臓近くの魔力が外に出て、効果を発揮するらしい。


「シシーが呪文もなしに火を起こしているのを見て、こういう魔法使いもいるのかと驚いていたが、どうやら魔力の回り方が違うからのようだ」

「ふうん…?2人もその循環、が見えるのか?」

「いいや、見えるのはロルフだけだ」


ロルフだけ、と言われて再び視線をそちらに投げると、呼ばれていると察した男は手足をばたつかせて拘束から逃れ、ずんずんとこっちに歩み寄ってくる。

目が輝きに輝いているので、さっきと違った意味で腰が引けた。


「もう話して良いかい!?」

「………断る」


私が通常の人間と違うことは知っているので、理由が分かるかと思ったが、なんだかろくでもないことに巻き込まれる気配を察知して断ると、『そんな!』と声に出さずとも分かるぐらい落胆の色を端正な顔に乗せられる。

そんな顔をされても、体を調べられるなんて嫌なものは嫌だ。

うっかりマスクを取られる、なんてことになるかもしれないし。


「ちょっとだけ!ちょっと触るだけだから!」

「嫌だ」

「なぜ!?」

「なんか………気味が悪い」

「否定はしない」


正直な思いを伝えれば、腕を組んだジークハイン様が深く頷いた。

この得体のしれないおぞましさを理解してくれて何よりである。

はあ、とため息を吐いたミグが前のめり気味のロルフを私から引き離して、男の肩を押さえた。


「ロルフ、シシーは女性なんだぞ。それも家族以外に顔を見せられない教えだ。独身の男が体を調べるだなんて許されるはずがない」

「バレなきゃいいだろう!?」

「全て見通すというのが神様ってもんだ。諦めろ」

「くっ…!」


目に見えて悔しがっているロルフは、今も私の全身を舐めるように上から下へ見ている。

その森の瞳がまるで私を『物』として見ているようで、嫌な感じだ。

男からは好奇心しか感じないのに、無感情に上から見下ろされている感覚がする。

ズメイが奥歯を打ち鳴らし、火を付ける準備をし始めたので頭を撫でて落ち着かせていると、ようやく諦めてくれたのか、ロルフは肩を落として頷いた。


「分かったよ…もっと仲良くならないとってことだな」

「「「そういうことじゃない」」」


ジークハイン様とミグと口を揃えて否定しても、聞く耳を持っていない様子。

諦めが悪いとはこのことだ、と今度はこちらが肩を落とす番だった。




体調を崩しまくってろくに書きため、できておりません…申し訳ない…!

明日はもう一話、二話、更新できそうです。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


沢山のPVと評価をいただきありがとうございます。

とても励みにさせていただいています。


不定期更新で申し訳ないですが、

必ず最後まで書き切りますのでどうぞよろしくお願いします。

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