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「耳より近く感じたい1~3」 ~ボクの命がたとえ繋がってたとしても、キミと出逢う為に生かされたと信じる~  作者: 有澄 奏
season2 ~全て拒絶してたボクの空っぽな心が、キミが触れるたびに温もりで満たされる~
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2-8-3 世の中、案外狭い

2-8-3 世の中、案外狭い 耳より近く感じたい2


--7月第2週、火曜日(7/7)


 あと2週間弱で1学期が終わる。

 音波の夏休みの予定は、まだ一つしか無い。

 DOSE.が参加する大学合同軽音祭を観に行く予定だけ。


 コスプレ部に音波たちが入ると、今までとは違い、部員たちが目の色を変えて、作業をしている。


「中條くん、なんか凄いね…。

 みんな、殺気立ってる感じする」

 異様な空気に戸惑う音波。


「ああ、イベント近づいてるからな」

 中條の作るドレスも、どんどん仕上がっていく。


「中條クン、頭と腕とブーケは大丈夫なの? 間に合うの?」

 宮野が聞く。


「もう、出来てる。

 写真撮ってるけど、見る?」


 中條はスマホを取り出し、写真を探す。

「ほら、ここから」

 そう言って、スマホを宮野に渡す。


「拝見するわ」

 宮野は一枚一枚スライドさせながら写真を見ていく。

「オトちゃんが当日も着てくれたらいいのに、残念ね、中條クン」


 中條は言う。

「当日着る人は一年前に決まってる」

「へえ、誰なのか興味があるわ」

「見たい?」


 見たい? と言われ、宮野と音波は同時に頷いた。


 中條は、宮野からスマホを受け取り、操作する。

「この人」

 写っていたのは、小柄で色白で華奢な女性。


(これは…何で?)

 宮野は黙った。


「この人、大学生なんだけど、入退院繰り返してるんだ。

 去年言ったんだよ。

 今年が最後かもって。


 俺、次は一緒に参加しようって言った。

 退院したら、楽しいことが待ってるって考えながら過ごしたほうがいいと思って。

 もうすぐ退院するって連絡が来たんだ。

 だから、この人に着てもらう」


 宮野は、中條の背中をバン!と叩く。


「痛え、なに? 宮野?」

「…中條クン、絶対に間に合わせなさいよ」

「お、おう…」


「大切な人なんだね、頑張ろう」

 音波は言う。


「オトちゃん、私ちょっと電話かけてくる」

 と言って、宮野は部室を出ていく。


 中條は、音波と二人きりになった僅かな時間を逃さない。


「なあ円井、お前何で、あの片山と付き合ってるんだ?

 あんなヘタレ野郎のどこがいいんだか、」


 いきなり片山の事を言われて、音波は驚きながらも反論する。


「ええっ、何でって…好きだから//

 中條くん、片山くんはヘタレじゃないよ、

 優しいし、助けてくれるし、強いし」


「ハッ、強いねぇ」

 中條は呆れ口調で言い、長い前髪をかき上げる。


「え、中條くんは片山くんの事、あまり良く思ってないの?」


 中條は、独り言のように小声でボソッと呟く。

「アイツを見てると…イライラする」


「え? 中條くん何か言った?」


「いや、円井なら普通に佐藤辺りとかと付き合えばいいのにって思ったんだよ。

 それか、お_」


ガチャリ

 部室のドアが開き、宮野が戻って来た。


 中條は舌打ちをする。

(チッ、いいタイミングで帰って来やがったか)


 宮野が怪訝な顔をして訊く。

「何を話していたの?」


 中條は答える。

「円井の、のろ気話を聞かされてた」


 音波は手をパタパタと振って言う。

「ちっ、違うよ、中條くんが変な事聞くから、」


「ふーん、そう」


ーー

 中條を残し、先に帰る音波と宮野。


「千寿ちゃん、今日変だったよ?」

 音波は心配して言う。


「…オトちゃん、中條クンが見せてくれた写真の人、私の知り合いなの」

「ええぇ? そうなの?」

 音波は驚く。


「うん、中條クンには言わないで。

 プレッシャーかかると、作業が捗らないから」


 音波は頷いて言う。

「うん、わかった、言わない」


「世の中って、案外狭いのかしら?

 学校で共通の知り合いがいるなんて思わなかったわ」


「そうだね…私も最近あったよ。

 たまたま行った写真展の有名な写真家が、お父さんと繋がりがある人だったの。

 ビックリした」


「それは驚くわね」

「ね、ふふっ」


 音波と宮野は笑った。





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有澄 奏 mimichika Project「耳より近く感じたい」小説補完用個人Webサイト  https://uzumi-sou.amebaownd.com/
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