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「耳より近く感じたい1~3」 ~ボクの命がたとえ繋がってたとしても、キミと出逢う為に生かされたと信じる~  作者: 有澄 奏
season2 ~全て拒絶してたボクの空っぽな心が、キミが触れるたびに温もりで満たされる~
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2-6-2 「…何も、話す事は無い」

2-6-2 「…何も、話す事は無い」 耳より近く感じたい2


--土曜日、

 午前8時、片山はスマホの着信履歴を確認したあと、サイレントモードにする。

 そして、マンションを出て駅に向かう。


 片山が中学を卒業すると同時に地元を離れ、隣の県に引っ越した実家へ行くために、足を前に進める。

 だが足取りは重い。


 駅に着き、切符を買い、電車に乗る。


 年に数回、実家に帰ってはいるが、それは母親に会うためだ。

 父親は転勤で居ない。

 その父親に呼び出された。


 無関心、猜疑心で成斗に接する父親に会いに行く。


(今まで通りに放っといてくれればいいのに…

 今更、俺と話す内容なんか無いだろうに)


 ワザと約1時間かけて実家に着く。

 片山は、スマホの電源をオフにして、ウエストポーチに仕舞った。


 気付かずに溜っていた兄の大智からの最後の着信履歴は、片山がチャイムを鳴らした後だった。


ーー

ガチャリ

 玄関ドアが開き、母親が出迎える。


「…ただいま、母さん」

「おかえり、成斗、

 お父さん居るから」

 母親は心配そうに息子を見る。


「分かった」

 片山は靴を脱ぎ、父親が居る奥の部屋へ入った。



「来たか、そこに座れ」

「…」

 片山は無言で指示通りに座り、父親を見る。


「何だ、眼鏡をかけていないのか。

 俺と話をする時は、眼鏡をかけろと言っているだろう」

「…、」


 片山は下を向いて、思う。


(久し振りに会ったと思ったら、眼鏡のことか…、

 俺の顔をまともに見るのも嫌なのか…)


「まあいい、高校に行って一年半、何も問題は起きてないだろうな?」

「…無い」


「成績はどうなんだ? 上位には入っているのか?」

「…そこそこ」


「女性絡みはどうなんだ?

 最近は早いらしいから。

 遊んだりしてないだろうな?」

「…遊んだりしない、出来ない」


「あなた!あれは成斗のせいじゃありません!

 相手の先生が…」


「お前は黙ってろ!口を挟むな!

 …本当のところは分からないんだから、実際はどうだか

 中学生とはいえ、成斗も男だからな。


 なんとか卒業までは噂にならずに済んでホッとしたが、毎日気が気じゃなかった。

 だから、コッチに引っ越したんだからな」

「!……っ、」


「男は女を守るものだと、小さい頃から言って聞かせてきたのに…、

 お前だって一度は必死に守った事があるから分かるだろう。


 女性は弱いが、大切な存在だ。

 子供を産んでくれる、未来を繋いでくれる、だから大切に守るんだ。


 女は力では男には及ばない、それなのにお前は…、男が女になんて逆の事があり得るか!」

「……、」


「接触恐怖症やら女性恐怖症やらと大智は言っていたが、もしそれが本当で治らなかったら、お前は一生ひとりなんだからな。

 結婚も出来ない、家庭も持てない、そんな話が信じられるか」

「!! っ、……」


「成斗、大学はどうするつもりだ?

 もう決めたところはあるのか?

 私立の大学はお金がかかる。

 高校で推薦取れるなら取れ。

 それ以外なら 

 塾には通わせてやるが、浪人は許さん。 

 いいな?」

「……」


「大智がお前と住むと言って聞かなかったから許したが、大智には迷惑かけてないだろうな?

 2人での生活は…ちゃんと食っているのか?」

「……」


 途中で父親の威圧的な声色が変わり、若干弱くなるが、片山は気づかない。


「大智はまだ音楽を続けているのか? 成斗、お前も手伝っているのか?」

「……」


「あなた、」

 夫の肩に手を置く、片山の母親。


「全く、兄弟揃って音楽が好きになるとは、しかもお前は…、」

 父親は険しくも辛そうな顔をして、息子・成斗を見る。


「成斗、話を聞いているのか?

 黙ってないで、なんとか言ったらどうなんだ」


 片山は、怒りに震える声で言う。

「…何も、話す事は無い」


「何だと?」

「…俺が何を言ったって、父さんは信じない…

 信じてくれない人に話すことは…何も無い」


 片山は父親を睨みつけた。


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有澄 奏 mimichika Project「耳より近く感じたい」小説補完用個人Webサイト  https://uzumi-sou.amebaownd.com/
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