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「耳より近く感じたい1~3」 ~ボクの命がたとえ繋がってたとしても、キミと出逢う為に生かされたと信じる~  作者: 有澄 奏
season2 ~全て拒絶してたボクの空っぽな心が、キミが触れるたびに温もりで満たされる~
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2-5-2 子供の頃に作ってた

2-5-2 子供の頃に作ってた 耳より近く感じたい2


ーー火曜日(6/2)


 放課後、音波と宮野は中條と共にコスプレ部の部室に入る。

 マネキンが何体もあり、その殆んどが衣装を着ている。


 中條が何も着ていないマネキンを奥から抱えてくる。

 そして、自宅である程度作ってきたであろう衣装を袋から出してマネキンに着せる。


「円井に着てもらうの、コレだから」


 中條が言ったその衣装とは、ウェディングドレスだ。


「えええ!? コレを着るの?」

 音波はビックリする。


 肩は出て、ドレスの丈は短い。

 音波が想像していたよりも、肌の露出が多いのである。


「あら、コレ…ラストストーリーに出てくるユリナの衣装じゃない」

 平然とした顔で宮野が言う。


「まだ羽根は付いてないのね。

 頭と手袋とブーケも作るの?」


(頭? 手袋? ブーケ? 何それ?)

 音波の頭は回らなくなる。


 宮野の発言に中條は答える。

「作るに決まってるだろう。

 頭はまだ後で。

 ていうか、宮野このキャラ知ってるんだ」


「当たり前よ。

 私このゲームのキャラ作ったことあるもの」


 中條はく。

「誰作ったんだよ?」

「フレイよ。剣を作るのは大変だったけど」


 中條は、驚く。

「え…、あの剣、再現したのかよ」

「長過ぎだから、3つのパーツに分けたけど」

「…お前、一体何者だよ…」

 中條は宮野を訝しげに見る。


 音波は2人の会話についていけない。


「中條くん、私恥ずかしいよ。

 ちょっとコレは無理だよ…」


 音波が顔を赤くしながら言うと、中條ではなく、宮野のほうが口を開いた。


「オトちゃん、心配しないで。

 今は肩が思いっきり出てるけど、羽根が付くから大丈夫」


 中條が言う。

「合わせで着るときは、ブラウス着たままでいいから。

 本番は脱いでもらうけどな、ブラウス」

「えええ…」


(片山くんに、なんて言おう…)

 音波は、困った。


 宮野は中條の直ぐ側まで行って、小声で話す。

「中條クン、アナタよく無理な挑戦をするわね。

 片山クンに勝とうなんて」


 宮野が何故、無理な挑戦と言ったのか、

 それは、1年の時に音波と片山の2人を見てきたからである。


 宮野はコスプレが好きなので、題材に合いそうな人物に、脳内で衣装を着せて遊ぶのが好きだ。


 空想の中では、容姿の良い学校内の生徒は全て、宮野の餌食になる。

 片山も例外ではない。


 去年の体育祭の時も、翌週の眼鏡を壊して登校した時にも、片山が眼鏡を外しているのを見ている。


 眼鏡の度が強い程、外した時のギャップがある。


 宮野は体育祭以降の片山を見ているうちに、分かってしまっていたのである。

 片山は、他の女子は全く眼中に無い。

 去年の冬、片山がいきなり教室を飛び出して行った時に、宮野の中では確定していたのだ。


 片山は音波の事に、好意を抱いていると…。


 そして、宮野は音波の事を、こうも思っていた。


 『鈍い子ね、全く』


 中條はニヤリと笑って言う。

「フン、どうだか。

 学園祭まで、時間はある。

 その間に2人がどうなるかなんて、誰にも…本人にも分からないだろう?」


「ふぅ、それはそうだけど…

 でも、オトちゃんが化けるのを、私も見てみたい。

 メイクは私がやってあげようか?」


「何だよ宮野、協力してくれるの?」

「んー、半々」


 そう言って、宮野は音波の写真を撮った。

 



ーー木曜日(6/4)


 放課後、コスプレ部の部室で作業する3人と、それを見る1人。


 見ているのは梶だ。

「ねえ、この羽根って何枚あるの?

 ていうか、服に何枚付けるの?」

 羽根の1枚を手に取りながら、中條と宮野が作業しているのを見ている。


「実花ちゃん、今日中條クンが持ってきてる分の倍は、軽く付けるのよ」

 宮野が平然と答える。


「エエエ!?」

「ええぇ!?」

 梶と音波もビックリする。


「オトちゃん、羽根が多いほうが、肩もドレスの裾も隠れるのよ」


「俺は枚数減らしてもいいんだけどな」

 中條の言葉に宮野が蔑んだ声で言う。


「中條クンのコス愛って、その程度なのね」

「7月のイベントは、リアル再現するけど、学園祭では減らしてもいいってこと」


 中條の"イベント"という単語に宮野は興味をもつ。

「7月…中條クンも参加するの?」


「もちろん!

 去年のイベント会場で知り合った奴らと組んで、今年も参加する」

「ふーん、そうなの」


「ところで、音波はさっきから何をつくってるの?」

 実花が音波の手の先のモノを見る。


「好きなバンドのワッペン。

 勝手に作ってる。

 コレ、キーホルダーにしたらね、表がバンドのロゴで、裏がメンバーの名前で、何種類も作れると思うんだ」


「オトちゃんって、手先が器用なのね」


「うーん、どうかな?

 子供の頃はよく作ってたかな。

 こういう薄いのじゃなくて、立体的なのも作ってたよ。

 確か…あれ?」


 音波は持っているワッペンを見る。


 梶が音波に言う。

「音波、どうかしたの?」


「ううん、何でもない」


 音波は梶に返事をした後、考える。


(私、何を作ったんだろう?)


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有澄 奏 mimichika Project「耳より近く感じたい」小説補完用個人Webサイト  https://uzumi-sou.amebaownd.com/
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