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「耳より近く感じたい1~3」 ~ボクの命がたとえ繋がってたとしても、キミと出逢う為に生かされたと信じる~  作者: 有澄 奏
season2 ~全て拒絶してたボクの空っぽな心が、キミが触れるたびに温もりで満たされる~
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2-2-4 「…、そんなに見たいの?」

2-2-4 「…、そんなに見たいの?」 Wデート1 耳より近く感じたい2


ーー4月第4週、日曜日(4/19)



 音波たちは、耿羽原あきはばら駅で待ち合わせをしている。


 カラオケボックスがある御茶ノ泉まではそう遠くないので最初に耿羽原を少し回ってから歌うことにしている。


 音波が駅に到着し、待ち合わせ場所に行くと、すでに片山が先に来ていた。


 音波は背中を向けている、後ろの髪が跳ねた片山に声をかける。

「片山くん、おはよう」


 片山は振り向く。

「あー、音波、おはよう」


 片山は 、今日は眼鏡をかけていない。

 音波が外で片山と会う時は、大概眼鏡をかけていない。

 学校以外では眼鏡はかけないのだろうか?


 音波は片山に訊いてみる。

「片山くん、学校以外では眼鏡はかけないで、いつもコンタクトなの?」


「あー、そうだな。

 人が多いところへ出かける時は、コンタクトを着けるようにしている」

「そうなんだ」

「うん」


 …会話が終わった。


 2人は 並んで佐藤と梶が来るのを待つ。


「…」

「…」


 音波は少し緊張している。

 ダブルデートとはいえ、片山と初めてデートをするのだ。


 チラリと 横に立っている片山を見上げる。

 片山は、至って普通のように見える。

 舞い上がっているのは自分だけか、と音波は思う 。


 すると、沈黙を破るように、片山が口を開く。

「…去年の夏休みの時みたいだ」

「え?」

「音波、バイトの初日に俺と会った時のこと、前に話してただろう。

 何を話していいか分からなくて、一生懸命考えてたって」

「あ、うん、そうだった」


「…俺、今そんな感じ//」

 そう言って、片山は音波の方を向く。


(あ、片山くんも私と同じなんだ…)


  音波は嬉しくなり、つい 笑う。


「ふふっ、大丈夫だよ、無理に話さなくても、私も同じだから。

 こうやって一緒に出かけられるのが、私は嬉しい」

「…うん」


 2人はお互いを見て、笑みを浮かべる。



 ようやく佐藤が来た。

 …というか、実は隠れて音波たちを見ていたのだ。


 佐藤は、デートの出だしを確認し、音波たちのところへ来る。


「悪い、待たせた?」

 佐藤の言葉に、片山は首を振る。

「そんなに待ってない」


「あ、そう? ならいいけど。

 あと来てないのは実花か」


 話していると、梶が駅と逆の方から歩いてきた。

「ごめーん、遅れちゃって。

 車で送ってもらったら、1本先の通りで降ろされた」


「実花、おはよう、お母さんに送って貰ったの?」

「うん」


 佐藤が言う。

「揃ったな、じゃあ行きますか」


 4人は耿羽原あきはばらの店を回りながら、御茶ノ泉を目指す。


 途中、ウィッグの店があるのに、梶が気づいた。

「ねね、この店に入ろうよ。

 なんか楽しそうだよ」


 梶が速攻で言う時は、大体何か考えか企みを持っている。


 佐藤はもう慣れているので、軽く返事をする。

「何、実花、変身でもしたいのかよ?

 ま、見てみたいけどw」


「みんな、行こ行こ」

 梶は音波の腕を掴んで、先に店に入る。


 佐藤と片山も続いて入るが、片山はあまり乗り気ではない。

 何となく嫌な予感がするからだ。


 店内に入ると、鮮やかな色のウィッグやエクステが陳列棚に飾られている。


 梶は早速音波にウィッグを被せる。

「わあ、音波この色似合うじゃん」

「えええ、そうかな?」


 音波の髪は生まれつきウェーブがかかっているので、ストレートのウィッグを着けると印象が変わる。


 片山は音波に訊く。

「音波、写真撮っていい?」

「えっ、い、いいけど…恥ずかしい//」


 梶がウィッグを2つ手に持ってくる。

「ねね、啓太と片山も着けてよ」

 そう言って、2人に差し出す。


 片山の嫌な予感が、当たった。


「俺はいいよ、啓太だけで」

 片山は断るが、佐藤が乗り気になる。


「成斗、ライブの再現しようぜ!」

 そう言って、梶からウィッグを受け取り、片山に押し渡す。


「…え、」

 片山がウィッグを受け取ったまま止まっていると、音波が声を掛ける。


「片山くん、私、見てみたい。

 軽音祭の時、シンバルが邪魔であんまり見えなかったの…駄目かな?」

 少し申し訳なさそうに言う。


「…、そんなに見たいの?」

 コクリと音波は頷く。


 片山は照れ隠しに溜め息をつき、音波に言う。

「あー、わかった//」


 佐藤と片山は鏡のある所へ移動し、ウィッグを着ける。


 佐藤が自撮りしながら言う。

「けっこう似合ってない? 俺、髪の毛伸ばしたら、こんな風になるんだ」


 梶が音波を連れて、佐藤達のところに来る。

「うわあ! 2人とも何ソレ、カッコいい。

 ちょっとポーズ取って決めて見せてよ」


「いいぜ、ほら成斗もやれよ」

「…、はあ、」


 ウィッグのタイプは違うが、長髪になった片山は、片山の兄でバンドのボーカルであるダイチの姿に凄く近くなった。


 音波は見惚れる。

「片山くん…、カッコいい…」

 そう言って、写真を撮る。


 そこへ、店員がウィッグを2つ持って、片山達の所へやって来た。


「あの、試作品ですけど、コレも宜しかったら着けてみませんか?」


 持ってきたのは、エクステがもう追加されている、ライブ仕様のものだ。


「いいんですか?」

 と佐藤は言うが、片山はもう解放されたい気分である。


「…、コレ着けたら、俺もう店出たい」

 ボソリと片山は呟く。


 店員に渡されたウィッグを着けた2人は、音波や梶、店員に写真を撮られた。


「あー、もういい?」

 片山が言うと、店員が交渉を持ちかける。


「あの、顔はモザイクかけるので、宣伝用に写真使ってもいいですか?」


「え…、」

「絶対バレない様にしてくれるなら、いいっしょ。

 それに、いつかお世話になるかもしれないし」

 佐藤が軽く承諾する。


「有り難うございます。モデルを探すのに苦労してたんです。助かります」


 店員にこう言われては、片山も断れない。

「…、絶対に顔出し無しで、お願いします」

 と、承諾した。


 ようやく店を出た4人、


 片山が言う。

「あー、歌う前にドッと疲れた」

「ごめんね片山くん、私がお願いしたばっかりに…」


 音波が申し訳なさそうに言うので、片山は音波の頭を撫でて言う。

「あー、音波のせいじゃないよ。

 気にしないで、大丈夫だから」


 佐藤は、片山と音波を見ながら…思う。


(こうやって見てると、”普通の”カップルなのに…、)





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