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「耳より近く感じたい1~3」 ~ボクの命がたとえ繋がってたとしても、キミと出逢う為に生かされたと信じる~  作者: 有澄 奏
season1 ~孤独の闇の中ボクは怯えて震えてた、キミに出逢ってからボクは変わり始めた~
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1-12-3 「ほぼ確定か…」

1-12-3 「ほぼ確定か…」 耳より近く感じたい


ー翌日曜日、午後


「…う、」

 ゆっくりと片山は目を開ける。

 ベッドの横の窓から入る午後の光が、部屋を薄っすら明るくしている。


(今は…何時だ?)


 ベッドの上、窓側の壁近くに何個か転がっている目覚まし付き時計のうちの一つを取り、時間を見る。


(15時過ぎ、……日曜?)


 ガバリと起き上がる。

「は? 日曜? …丸一日経った…のか?」


 片山は頭を抱え、昨日の事を思い出す。


(確か、駅の階段で限界がきて、

 そこに音波が来て、

 タクシーに乗って、

 家に帰って、


 ベッドまでいって、

 上着…、音波が脱がしてくれた、

 それから…それから?


 ああ、そうだ、音波が薬を飲めって言って、

 意識が遠退いていく感じ…、

 それから…どうなった?)


 ベッドから足を下ろす。


 片山はボソリと言う。

「音波は? 音波は……いつ帰った?」


 片山は、自分の記憶が飛んでいることに呆然とする。


「……、」


 まだ完全には…頭が働かない…

 汗をかいたのか、体もベタベタする、

 シャワーを浴びて、少し落ち着こう…。


 片山は立ち上がり部屋を出る。


 洗面所で、付けっぱなしだったコンタクトを外し、服を脱ぐ。


ザァーー…、

 シャワーを浴びながら考える。


(疲労と睡眠不足が原因だったのは分かる

 だったら、それで何故記憶が飛ぶ?


 前に何か…そうなる事があったか?

 たしか、前の日は部長が来て、宇野の話を…


 あ、まさか?…あの症状が出たのか?)


 < 音波の前で…音波に見られた? >


「……っ」


(そんなはずはない、

 ああでも、あの感覚…力が抜けていく嫌な感じ…。

 なんか、体が動いたような…、

 その後はもう、記憶がない…。

 

 でも、もしそうなら?

 音波の前で症状が出たなら…、

 もしそうなら…話すしかない。

 遅かれ早かれ、いつか話すとは伝えてある)


ザァー、キュッ

 シャワーを止めて浴室を出る。

 身体に残る水気を拭きとり、腰にバスタオルを巻いて廊下に出る。


「…兄さん」

 リビングドアの前に兄の大智が立っている。


「成斗、起きたか。

 具合はどうだ?」

「…ああ、大丈夫」


「そう、話がある、服着てこい」

 そう言うと、大智はリビングに戻っていった。

「…」


 今日は日曜、本来ならバンドメンバーみんなで集まっている時間帯だ。

 この時間に兄が家に居る、居てくれているということは…、


 片山はボソリと呟く。

「ほぼ確定か…」


 落胆と悲壮感でいっぱいになる。


「音…波、」


 片山は、ある意味、諦めた。




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