表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「耳より近く感じたい1~3」 ~ボクの命がたとえ繋がってたとしても、キミと出逢う為に生かされたと信じる~  作者: 有澄 奏
season1 ~孤独の闇の中ボクは怯えて震えてた、キミに出逢ってからボクは変わり始めた~
5/376

1-1-4 「なんで知ってるの?」

1-1-4 「なんで知ってるの?」 耳より近く感じたい


 高校生活一週間が過ぎて、クラスの女子たちとは大体話すようになった音波だが、男子とは、まだあまり話せていない…。


 この日最後の授業は担任、科目は総合。

 内容は決まっていない。

「えー、お前たちが入学して一週間が過ぎた。

 仲良しグループもチラホラ出来てきたんじゃないかとは思うが、まだ話したことない奴もいるだろう。

 そこで、男女で話すゲームをする」


「えーっ何それー」


「今から配る紙に、氏名、好きな科目、好きなもの、の3つを書いて、話すときに相手と交換する。

 女子はそのままで男子が移動する。

 話す時間は一人3分。

 さー書け」


 音波は焦った。

 18人の男子と一気に話すことになるとは思いもしなかったからだ。


(先生を恨んでやる)


 とりあえず名前と科目と好きなものを書いて…横線で消して犬と書いた。


 ぎこちないながらもなんとか男子と会話していく。

 殆どがお互いの名前のことで時間切れになる。

 だが一人3分は、音波にとっては長すぎる。


 音波の前に、後ろの髪の毛が跳ねている、あのメガネ男子が座った。

 ぶっきらぼうに自分の紙を音波に差し出す。

 音波も慌てて紙を差し出す。


(…片山成斗カタヤマセイトっていうんだ、好きな科目は音楽、好きなものは…何だコレしっかり塗りつぶしてる)


「よーし、じゃ計るぞーはじめ」


「…オトハ?」

「!」


 今まで話した男子は、「名字をなんと読むのか」しか言わなかったが、片山には名前のほうを呼ばれたので驚いた。


「音のウェーブ、…良い名前」


 パァーッと笑顔になる音波。

「ありがとう///」


 父親が名付けた名前を初めてまともに会話する相手に褒められて、嬉しいのと恥ずかしいので、音波の顔が赤くなる。


「…、男と話すの苦手?」

「えっ? 何で?」

「入学式ん時に変な声で返事してたから」


(あー、あの時確かに裏返った声で返事したかも…)


「あ、そそんなことないよ」

「…、あっそ。

 俺は“女…苦手”」


…暫しの沈黙

 音波の頭の中は、早く3分終わって欲しい気持ちで俯いてしまった。


「ふーん、コアなやつ聴くんだ」


 突然片山が放った言葉にドキリとする。

 ガバッと頭をあげ片山を見つめる。


「どうして分かったの?消したのに。

 ていうか、何で知ってるの?」


 音波は、驚きながらも同類をやっと見つけたかもしれないという淡い期待で、無意識に笑顔になり、片山を見つめる。


一方、

 片山のほうはというと、自分に向けられる音波のキラキラした瞳にドキリとしながらも、違和感を覚えた。

「!」


(なんだろう、なんか知ってるこの目、懐かしい? 思い出せない…

 何処かで会ったことあるのか?)


 片山は頭を左右に振る。


 この仕草を見た音波は、自分が一気にまくしたてたせいで、片山にドン引きされてしまったと思った。


「ごごめんねいきなり話して。

 あ、そうだ片山くん好きなもの塗りつぶしてるけど何て書いてたの?」


 意識が教室に戻ってきた片山は答える。

「あー、もう時間」


 片山が席を立ちながら、自分の紙を音波の手からぶっきらぼうに奪い取る。

 そして身をかがめ、音波の耳元でボソリと言う。


「気負わなければ普通に話せてる」

「あ…///」

「別に焦んなくていいんじゃない?」


 ここで時間切れ。


 ー『コアなやつ聴くんだ』ー


(って、片山くんは言ってたけど…。

 DOSE.(ドース)のこと知ってるんだ。


 片山くんも聴くのかな?

 …もう少し話したかったな…)


 そう音波は思った。


 この日から、音波にとって片山は、少し気になる存在になった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
有澄 奏 mimichika Project「耳より近く感じたい」小説補完用個人Webサイト  https://uzumi-sou.amebaownd.com/
UZUMI-SOUのブログ https://ameblo.jp/uzumi-sou/
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ