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「耳より近く感じたい1~3」 ~ボクの命がたとえ繋がってたとしても、キミと出逢う為に生かされたと信じる~  作者: 有澄 奏
season1 ~孤独の闇の中ボクは怯えて震えてた、キミに出逢ってからボクは変わり始めた~
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1-9-4 好きにならない訳がない

1-9-4 好きにならない訳がない 観覧車前 耳より近く感じたい


ーー空がゆっくりと青から(だいだい)色に変わり始めるーー


「観覧車乗る前にお手洗い行ってくる」

「行ってこーい」


 音波と梶が離れると、佐藤が口を開いた。

「成斗、いつからバレてた?」

「お前と靴屋で別れてすぐ。

 楽器屋で音波に会って、梶と来てるって聞いて、分かった」

「そっかw」


 フェンスに寄り掛かり、佐藤が話し始める。

「お前、学園祭終わった後の、あん時からちょっと不安定っぽかったから、心配したんだよ」


 片山も、フェンスに寄り掛かる。

「あー、久しぶりだったからな。

 いきなりドカッとくると、駄目だ。

 啓太が来てくれて助かった」


「体育祭のときに、成斗が円井のところに真っ直ぐ向かっていって、手握っていったときあったじゃん。

 アレはビックリしたよ」

「あー、俺も驚いた。触れてるって」

 そう言い、片山は自分の手を見る。


「俺とお前の仲だ、隠し事は無しだ。

 円井のこと、いつから?」

「…いつからって、何が?」

「円井のこと、どう思ってんのよ?」

「…別に」

「別に、じゃねーよ」


 少しの間の後、片山が言う。

「…、部室に来た時…かな」

 佐藤は驚く。

「そんなに早い時期から?」


「…多分。部室で手を握られて、あいつの笑顔を見て、何故か懐かしいと思った。

 それから、4人で絡むようになって、気になるようになった」


「円井のこと、好きなんだよ、お前は」

 佐藤の言葉に、片山は首を振りながら言う。

「あー、違う…好きとは違う、」


「違わない。

 でないと、あんな血相変えて飛んで助けに行ってない」

「あれは! 俺のせいで音波が、」

「それは言い訳だ。

 大切だって思ってるから飛んでいったんだ」


 片山は否定するように首を振る。

「…違う、俺は、人を好きにはならない」

「そんなことはない!

 成斗は円井が好きなんだよ、お前はその事実を認めたくないだけだ」

「……、」


「成斗にとって円井は特別なんだよ。

 自覚しろって」

 佐藤が真剣な目をして言う。


「特別…」

「ああそうだ」

「…俺は、」


 佐藤は若干辛そうな顔で言う。

「最初が"最初"だから、女に恐怖と不信感が拭えないことは知ってる。

 でも、円井も女だ。お前は怖がってるんだよ」


 片山は肩を震わせながら、言う。

「…っ、ああ、そうだよ!

 俺は、怖いんだよ…

 音波は、俺に触れられない

 だったらこのままで、俺は…いい」


「それは違う。

 さっき円井がお前の手を握っても、お前平気だったんだよ。

 この前だって、お前が円井に触っても、お前平気だったろ。

 円井が他のヤツと違うの、お前はもう分かってるんだろ?」

「…」


 片山は下を向いて言う。

「音波が…あの人と同じような言葉を言ったとき、俺はどうなるんだろうって考えると、無理。

 症状も出てしまった、記憶が…感覚が蘇ってしまった…。


 だったら友達のままでいい…、俺は、このままでいい」


 佐藤は片山の肩に手をやり言う。

「最初から諦めるなよ、成斗。

 俺、円井なら成斗のこと救ってくれる気がする。


 円井は表裏がない。

 いつも真っ直ぐだ。


 お前の過去とか知っても、変わらないかもしれない。

 全部受け止めてくれるって」

「……音波、」


「なあ成斗、お前、円井と居る時すっげーいい顔してんの。

 自分で気づいてないの?

 お前は変わったよ、円井と一緒にいるようになってから」


「変わった…俺が?」


「ああ、変わった。

 女に対しては能面だったお前の表情が、円井の前では素でいられてる」


 片山はボソリと言う。

「…俺は、望んでもいいのか?」


「望まなきゃ手に入らない。

 お前には逃げないでほしいし、前に進んでほしい」

 佐藤は片山の肩をポンポンと叩く。


「啓太、なんでそこまで」

「あーっ、何で何でうるせーよ。

 俺たち、親友だろ?」

 佐藤は片山の肩に腕を引っ掛けグイと寄る。


「焦らないでちょっとずつ、ゆっくり行こうぜ」

「…啓太」

「先ずは、素直になるところからだな」

「……」



「お待たせー」

 音波たちが戻ってきた。


「待った待った。迷ってたの?」

 佐藤が梶をからかう。

「違う!混んでたの!」

 佐藤と梶はワイワイ言いながら、観覧車の方へ歩いて行く。


 まだフェンスに寄り掛かっている片山に、音波は近づく。

「どうしたの? 片山くん。

 もしかして高い所嫌い?」


 心配そうに訊いてくる音波を見つめ、片山は言いかける。

「音波、俺…」

「なに?」


 真っ直ぐに計算無しに片山に接してくる音波。


(…、好きにならない訳がない!)


 想いを振り払おうと、フェンスから離れる。

「…っ、なんでもない。行こう」

「うん。?」


 歩き出す二人。


 片山は、思う。


(いつか話す…そんな時は来るのだろうか…


 でも、今日はこのままで居たい


 この景色を一緒に…)


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