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「耳より近く感じたい1~3」 ~ボクの命がたとえ繋がってたとしても、キミと出逢う為に生かされたと信じる~  作者: 有澄 奏
season1 ~孤独の闇の中ボクは怯えて震えてた、キミに出逢ってからボクは変わり始めた~
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1-8-2 「夢の中の…」

1-8-2 「夢の中の…」 耳より近く感じたい


ーー

(どこだ?何処へ連れて行った?

 ただ闇雲に捜しても時間がかかるだけだ。

 早く見つけてやらないと…音波!)


 階段を2階から4階まで一気に駆け上がる。

 絶対に居場所を吐かせる!



ガラッ、バーン!!

 3年2組の教室のドアが壊れそうなくらいに勢いよく開く。

 授業が始まっているにもかかわらず、片山はズカズカと入っていく。

 教室内が、ザワっとどよめく。


「おい、何だお前、授業中だぞ」

 教科の先生が言うが、片山の耳には入らない。

 ただ一人の方に向かって足を進めていく。


 宇野の側まで来ると、腕を掴み引っ張って立たせ、教室の外へ連れ出していく。

「痛い!」

 片山は宇野の言葉を無視して階段近くまで移動する。


バンッ!

 片山の手が壁を思い切り叩き、必死の形相で大声をだす。

「おい、アイツをどこへ連れてった?

 早く答えろ!!」

 殺気に満ちた片山の瞳が、宇野を睨みつける。


「ひ、東校舎裏の廃倉庫…」

 恐怖で宇野の声が裏返る。

 壁から手を離し、宇野を見る片山の目は冷めきっている。

 声も、さっきとは真逆で感情が無い。


「アイツを傷つける奴は、許さねえから」

 氷のような冷たい目で言うと、片山は宇野の腕を掴んだままだった手を離し、直ぐに階段に向かって走って行く。


 東校舎裏、早く行かないと!

 階段を、今度は1階まで駆け下り、走る。

 ハァハァ…


 外は雪混じりの雨に変わっている。

 バシャッバシャッ!

 泥水が跳ねる。

 走りながら片山は考える。


(なぜ俺はあいつのことになると、なりふり構わず動いてしまうんだろう)


 …最初は笑顔が気になった

 …あのキラキラした瞳

 …何故か懐かしさを感じる

 (音波……音波!)


 廃倉庫の扉を叩く。

ドンドン!

「音波、居るか?無事か?ハァ、ハァ」

「片山くん?」

「音波!

 今開けるから…、」

 ギギギ…扉が開く。


「音波!」

 音波の姿を確認し駆け寄る。

「音波」

 ブルブルと震えながらしゃがみ込んでいる音波の肩を優しく掴み、じっと見つめる。


「大丈夫?」

「うん、」

「よかった」


 ホッとして音波の頭を撫でながら、優しく言う。

「もう大丈夫だから」

「片山くん…」

「うん」

「怖かったよ…うっ…」

「うん、ごめん」


ガバッ、

 雨に濡れた片山にしがみつき、音波は安堵の涙を流す。

 音波にしがみつかれた勢いで後ろに尻もちをつく片山。

 …悪寒は無い。


「ごめん、俺のせいで…ごめん」

 音波をふんわりと優しく包み込むように抱きしめて、背中をさする。

 そして、片山は何度も言う。


「もう大丈夫、大丈夫だから」

「もう大丈夫、だから泣かないで」


 初めて片山の胸に抱きしめられた音波は、

 キラキラと光る雨を片山の肩越しにぼーっと見ながらポツリと言った。


「…なんか、夢の中の"君"みたい…」


 極度の緊張状態から解放され、音波は片山の腕の中でフッと気を失った。


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有澄 奏 mimichika Project「耳より近く感じたい」小説補完用個人Webサイト  https://uzumi-sou.amebaownd.com/
UZUMI-SOUのブログ https://ameblo.jp/uzumi-sou/
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