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「耳より近く感じたい1~3」 ~ボクの命がたとえ繋がってたとしても、キミと出逢う為に生かされたと信じる~  作者: 有澄 奏
season1 ~孤独の闇の中ボクは怯えて震えてた、キミに出逢ってからボクは変わり始めた~
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1-4-4 「一緒には無理」

1-4-4 「一緒には無理」 耳より近く感じたい


ーー7月最後の金曜日 バイト帰り


ピコン

片山

「店の前に着いた」


 音波は、バイト初日に片山とバッタリ会い、片山に若干強引に送られることになった。


 片山から届くメッセージは、いつも同じ文字。

 何だか、まだ緊張する。


 帰る間の会話は、相変わらず保たない。

 ポツポツと話しては、少しの沈黙。

 お互い、頑張って話題をひねり出しているように感じる。


 音波は、今まで片山に聞こうと思いながらも、なかなか切り出せなかった話題をふることにした。


「もう8月になるね」

「うん」

「片山くんはバイトじゃない日は何してるの?」

「…なんで?」

「いや、あの、ドラムの練習とかしてるのかなって」

「あー、うん、してる」

「そうなんだ」

 音波は記憶を辿りながら話を続ける。


「前にね、部室に遊びに行ったとき、ドースの曲を叩いてくれたよね」

「あー、うん」

「あの曲、大好きなんだ」

 音波の顔から緊張がとれていく。

「私が中二の時でしんどいときに、偶然聴いてね、気持ち沈ませてないで弾けろって感じて、それでファンになったんだぁ」

「…へぇ、そう…」


「高校生からやってて、大学生になってもずっと続けてて、凄いなって」

「あー、」

「でね、あんなに上手に叩けるんだから、片山くんも好きなのかなって思ったの」

「まぁ、好きでなきゃ演らないし、叩かないし」

 音波は、片山が好きと言ってパァッと笑顔になる。

「本当?嬉しい」

 片山はポツリと言う。

「…テンション高い」


「今度、DOSE.(ドース)が出演する大学の軽音祭に行くんだけど、ウチの高校も出るって佐藤くんが話してたから、片山くんと佐藤くんも見に行くなら、4人で一緒に行けたらいいなって思って」


「あー、行くけど一緒には無理」

「あ、そうなんだ」

 音波は、用事で遅れて行くという意味かと思った。

「会場では会えるんだよね」

「…多分、無理…サポートするから忙しい」

「そっか」

 音波は、少し残念な気持ちになる。


「…もう、曲決まったし」

 片山の言葉に音波は答える。

「うん、もう曲決まったから今夜の配信で発表するんだよね」

「配信も聴いてるの?」

「うん、不定期だけど毎回楽しみにしてる」

「…そうなんだ」

「片山くんも聴いてみれば?今夜だよ。23時から」

「…あー、…そんなに好きなの?」

「うん」

 音波は、片山と音楽の話がやっとできたので、凄く嬉しそうに笑った。


 片山は音波の笑顔を見て、頭の奥に懐かしさと鈍い痛みを感じた。

ーー(まただ…知ってる)ーー

 その痛みは不快なものではない。

 懐かしい…でも何かを忘れているような、そんな気にさせる痛み。


 片山は、駅の階段下まで送り、音波が改札を通って姿が見えなくなるのを見届けると、自転車の向きを変えた。


 自転車に(またが)り、漕ぎ出す。

 生温(なまぬる)い風をきりながら、自転車を漕ぐ。

(…、あんなの見たから、つい自分から送ると言ってしまった…

 当日、どうすっかな…)


ーー

 夜、音波は、DOSE.(ドース)のSNSを見ていた。


DOSE.☆MAIN

「8月の大学合同軽音祭に来てくれるみんな、

 こちらにコメントしてくれると、嬉しいです。

 当日、僕たちと祭りを盛り上げよう!」

DAICHI☆DOSE.D

「みんなに会えるの待ってるよ!」

△△△☆dose最高

「絶対に行く」

△△△☆Dose.推し

「舞玉から駆けつける」

△△△☆DOSE.LOVE

「会いに行くよ」

Nami☆DOSE.ファン

「友達と行きます」

Sei☆DOSE.N

「♫♬♪」


(あ、Seiさんも当日行くんだ。)


どんな人かも、どこに住んでるかも、年齢も、性別も分からないけど、もし会えたらいいのにな…。



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有澄 奏 mimichika Project「耳より近く感じたい」小説補完用個人Webサイト  https://uzumi-sou.amebaownd.com/
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