表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「耳より近く感じたい1~3」 ~ボクの命がたとえ繋がってたとしても、キミと出逢う為に生かされたと信じる~  作者: 有澄 奏
season2 ~全て拒絶してたボクの空っぽな心が、キミが触れるたびに温もりで満たされる~
128/376

2-15-3 挨拶は次の機会に

2-15-3 「挨拶は次の機会に」 耳より近く感じたい2



--

 大学合同軽音祭、今年オオトリを飾るのはDOSE.(ドース)だ。


 DOSE. 定番のBGMが流れ、銅鑼ドラの音で止まる。

グワァーン! グワァーン! グワァーン!


 ギターのリフから入る曲、先の池谷でのライブで演った新曲からのスタート。

 そして、ドラムとベースが加わり、ステージ上が照明で一気に照らされる。


ワァーッ!!


 観客席のあちこちで、赤いタオルが振り回される。


 持っているハンカチや帽子等、何か自分も振れるものは無いかと考えたのだろうか?

 赤いタオルと一緒に、色んな色が振られる。


 一曲目が終わって、ダイチのMCになる。


「D O S E ドースです。

 みんな、初っ端からタオルや、色んな色で染めてくれてありがとう!

 祭りは楽しんでるかい?

 今日も みんなに 一回分の✕✕✕を用意したから、最後まで楽しんでってちょーだい!


 それじゃあ、次の曲行くぜー!

 BORDER!」


カンカンカンカン

ジャーン!・・・


ワァーッ!!


 2回目のMCで、ダイチは弟に渡されたエレアコを準備しながら話す。


「最初からいる人も、途中から来てくれた人も、楽しんでくれてるかい?

 今日参加したみんなが強い思いで届けた音を、みんな受け取ってくれたかい?


 音楽を通じて繋がった仲間、DOSE.始動の曲そして、

 夢を諦めないで、求めて今に繋がる曲、2曲続けて聞いてください。

 BLUE、& …」


ワァーッ!


 BULEのアコースティックバージョン、ダイチがステージで初めてギターを弾く。


 いつものテンポと違う曲に、ファンは序盤戸惑ったようだが、直ぐにタオルを揺らす。


 真ん中でギターを弾きながら歌うダイチ。

 ソロに入り、配信で弾いたアコギのソロを弾く。

 オサムが横に来て、エレアコのソロに合わせてリフを弾く。

 シンジも横に来て、優しくベースを合わせる。

 エイタロウは、MC中に移動したワンバスのドラムセットで、腹に響くバスドラムを打つ。


 音波は、この日持ってきた一眼レフカメラで写真を撮る。

 遠くから、ズームをしながら撮る。


 そして片山は、兄・大智がステージでギターを弾く姿を見て、嬉しく思う。

 同時に羨望の眼差しで、DOSE.のメンバーを見る。

 


「いよいよ最後だけど、今日で終わりじゃない、

 来年も再来年も、この軽音祭はずっと続いていくから、

 みんな、また次も祭りに戻ってきてくれよな!

 ラスト2曲、みんな、用意はいいか!

 行くぜ! Tell Me、Over DOSE.!…」


ワァーッ!



 DOSE.の演奏が終わり、一旦幕が下りた後、再び幕が開く。


 参加バンドが一斉にステージになだれ出る。

 そして、記念撮影が始まる。


 各バンドのサポートをしている人や運営スタッフが写真を撮る。


 その光景を見ながら、音波も2階席から写真を撮る。

 みんなの高揚した表情が、輝いている。

 音波はズームで、何枚も写真を撮った。



ー本日はお越し頂きありがとうございました。

 お帰りの際は、係の指示に従って、順番にご退場下さいますよう、お願い申し上げます。

 繰り返します、お帰りの際は…ー


 音波と梶は、椅子に座って伸びをする。

「んーっ、疲れたぁ~、今年は去年より時間が長かったからかな」

 梶の問いに音波は答える。

「うん、そうだね。

 開演時間が去年よりも早かったからね」


「啓太に、2階に居るってチャット入れとくね」

「うん」


 音波が、出口へ流れる客とステージで機材の片づけを始めるスタッフを交互に見ていると、音波のスマホが振動した。


 音波は画面を確認する。

「あ、お兄ちゃんだ」

 兄の樹からの電話だ。


 音波の言葉に梶が反応する。


 音波は電話に出る。

「もしもし? 樹お兄ちゃん、どうしたの?」

[音波、今何処にいるんだ?]

「2階席にいるよ」

[そうか、ちょっと手を振ってくれないか?]

「え、うん」


 音波は樹に言われた通り、2階から1階を見下ろし手を振る。


[場所が分かった。友達も一緒か?]

「うん、一緒だよ」

[そうか、今からそっちに行く]

「え、うん分かった」

プツッ、


 梶が訊く。

「音波のお兄さん?」

「うん、今からこっちに来るって」

「へえ、音波のお兄さんかぁ、カッコいい?

 あ、啓太からチャットが来た。

 片山遅れるってさ、ほら」


 そう言って、梶は音波にスマホの画面を見せる。


佐藤

「今から行く

 成斗は遅れるから

 円井に伝えといて」


「りょーかい」



 暫くして、帰る客の流れに逆らいながら、樹がやって来た。

「音波、ここにいたのか。やっと見つけた」

「お兄ちゃんは何処に居たの?」

「あそこ」

 樹は2階の上を指さす。


 音波が見上げると、ガラス越しに清香が手を振った。


 樹が言う。

「お友達? 兄の樹です、音波と仲良くしてくれて有り難う」

 梶は樹に手を差し伸べられ、握手する。

「梶 実花って言います、宜しくお願いします」


 そこへ、遅れて佐藤がやって来た。

「みーかー、円井、おまた・・・せ、 あ!!」


 振り返る樹を見て、佐藤は驚く。

 今年の1月に、音波と一緒に帰った男が目の前に居るからだ。


 緊張した面持ちで佐藤が樹を見ていると、音波が佐藤に紹介する。


「あ、佐藤くん、お疲れ様。

 紹介するね、樹お兄ちゃんなの。

 お兄ちゃん、こっちは佐藤くん、軽音楽部で先輩の手伝いで来てるんだよ」


 佐藤が驚いた後、後半安堵したように言う。

「へ? 円井の…お兄さん?

 …なんだ、そうか、お兄さん…だからか」


 音波と樹は、ホッとしている佐藤を見て不思議がる。

「俺が、何か?」

「佐藤くんどうしたの?」


 佐藤は頭に手をやり言う。

「いや、何でもない、気にしないで」

(兄妹だったのか、だから車で…)


 樹はイヤホンで呼ばれる。

 樹は上を見て清香に手を挙げた後、音波に尋ねる。

「音波、4人でご飯を食べるって言っていたけど、もう一人は?」

「あのね、遅れるんだって」

「そうか、上に呼ばれたからもう戻る。挨拶は次の機会にするよ」

「うん、樹お兄ちゃん、またね」

「ああ」


 樹は佐藤と梶に軽く頭を下げ、片山とは会えずに戻っていった。



 佐藤は言う。

「そうだ、円井、DOSE.と一緒に写真撮ったことないだろ?

 まだ着替えてないだろうから、今から行ったら写真撮れるかもよ」


 音波は言う。

「えっ、控室に行ってもいいの?」

「大丈夫っしょ、面食いの実花が好きそうなSHUROEもいるし。

 SHUROEの写真はライブに行かないと撮れないからな。

 成斗も、もう少し時間かかりそうだし」


 梶が速攻で言う。

「行く行く! 早く連れてって」

「私も行きたい」

「じゃあ、行きますか」


 音波達は佐藤に先導され、控室に向かった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
有澄 奏 mimichika Project「耳より近く感じたい」小説補完用個人Webサイト  https://uzumi-sou.amebaownd.com/
UZUMI-SOUのブログ https://ameblo.jp/uzumi-sou/
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ