2-14-5 ブロックレベル
2-14-5 ブロックレベル 耳より近く感じたい2
--同日、夜
音波は中條に話すために、電話を掛ける。
プルル…プッ、
[円井? 今日会社に言った? どうだった?
明日だよな、只野と会うの]
「その事なんだけど、あのね、今日会ったの」
[え、今日?!]
「うん、実はね…」
音波は今日モデルをしたこと、清香から聞いた話等を中條に話す。
[…なんなんだよ、あいつ何が目的だったんだよ、
さっぱり分かんねえ]
「会社の仕事が駄目にならずに済んだだけでも、ホッとしてる」
[まぁ、そりゃあそうだけど、]
「ごめんね中條くん、迷惑をかけて。
色々聞いてくれてありがとう」
[円井の話なら、いくらでも聞くけど]
「え?」
[…なあ円井、何で今回の事を片山に話さないんだよ。
片山が大変って言ってたけど、何が大変なんだよ?
あいつ、彼女放ったらかして何やってんだよ]
「…軽音祭の練習と、バイト頑張ってるよ」
[そんなもん、仮病使って休めばいいだろう、
お前が言えば直ぐに駆けつけてくれるんじゃねえの?]
「だから言えないよ、私の事で精神的なストレス増やしたくないの」
[円井、それって…片山の体が原因?]
「…え?」
中條の言葉を聞き、音波はドキリとする。
[…去年、片山たちの衣装を作ったって話、したよな]
「…うん」
[片山と佐藤と田中、佐藤と田中は女子が担当した。
そんで、残った片山を俺が担当することになった。
佐藤がそう仕向けて、その時に偶然知った。
片山は、女がダメで怖いってこと]
「!! 中條くん…知ってたんだ。
だから、この前片山くんのこと、ヘタレだって言ったんだね」
音波は悲しくなる。
[部活とバイトで精神的にくる訳ないよな、
片山のやつ、他に何かやってんの?]
「…、」
[あいつ、女がダメなくせに、この前…]
「片山くんが、何?」
[何でもねえ、円井、片山がかまってくれないんなら、俺と遊ぼうぜ。
夏休み、あと2週間くらいだろ、行きたいとことか無いのかよ]
「中條くん、ありがとう、気を使ってくれて。
でも、私は大丈夫だよ、もう十分助けて貰ったから」
[…わかった、今は引きさがる。
また片山とかに言えない事とか、何かあったら連絡しろよ、話聞くから]
「うん、ありがとう」
[ちゃんと寝ろよ、じゃあな]
「うん、おやすみなさい」
音波は電話を終える。
パソコンで音楽専用アカウントを開く。
Dメッセージを開く。
(Seiさんにも、今日のことを伝えておこう)
『D:コメントを入力してください』
→「……………」
音波は文字を打ち、送信ボタンを押す。
【NamiがSeiにDメッセージを送信しました】
【Dメッセージを送信できませんでした】
(えっ?)
音波はもう一度、送信ボタンを押す。
【Dメッセージを送信できませんでした】
「何で?」
音波は、ヘルプのページを開いて検索する。
<Dメッセージ 送信できない>
Q・Dメッセージが送れません。どうしてですか?
A・ハートや返信は出来るのにDメッセージが送れない場合は、相手がDメッセージの受信を限定にしている、または受け付けない設定になっていると、Dメッセージは送信できません。
詳しくはDM設定・ブロックレベルを確認してください。
ブロックレベル5:閲覧不可(クローズド投稿)
ブロックレベル4:閲覧可
ブロックレベル3:閲覧可、ハート可
ブロックレベル2:閲覧可、ハート可、返信可
ブロックレベル1:全て可(ハート・返信・紹介)
DM設定:〇全て受け付けない・〇フレンドのみ受け付ける・◎全て受け付ける
DM送信相手を完全にブロックする場合は、相手のページに飛んでブロックして下さい。
「そんな、…」
昨日、Seiが送ってきたメッセージ、
『 今回の件は これで終わり
しつこく聞くなら
ブロックする
また前の関係に戻ろう
Namiさんとは
繋がっていたい 』
「もうDメッセージは、送れないんだ」
『 また前の関係に戻ろう 』
投稿にリアクションをするだけの関係に…戻る。
「私、何やってるんだろう…、
勝手に舞い上がって落ち込んで、
片山くんに心配かけたくないからって、
関係ない中條くんとかSeiさんを巻き込んで、
片山くんは考えて行動してるのに、頑張ってるのに、
これじゃあ、支えたいとか言えないよ…っ、」
音波は、情けない気持ちでいっぱいになる。
ピコン!
スマホが、通知音を鳴らした。
音波は確認する。
届いたのはSeiの投稿通知だ。
「あ、」
音波はSeiの画面を開く。
【EITARO☆DOSE.Eの投稿をSeiが紹介しました】
Sei☆DOSE.N
「サインの練習中」
↓
EITARO☆DOSE.E
「漢字と英語、どっちがいい?
_漢字の画像_
_英語の画像_ 」
Sei☆DOSE.N
「SHINJI 字がキレイ
OSAMU 適当過ぎ
DAICHI 読めない
_シンジの画像_
_オサムの画像_
_ダイチの画像_ 」
大学ノートを破って書いた、DOSE.(ドース)のメンバーのサインの画像。
音波は、恐る恐るハートボタンを押してみる。
押せた。
(…、)
Seiの投稿を紹介してみる。
紹介出来た。
「ホッ、ブロックレベル1だ、良かったぁ」
サインの紙が置かれたテーブルの横に、薄手のパーカーが僅かに写っているのを、音波は気付かなかった。




