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「耳より近く感じたい1~3」 ~ボクの命がたとえ繋がってたとしても、キミと出逢う為に生かされたと信じる~  作者: 有澄 奏
season2 ~全て拒絶してたボクの空っぽな心が、キミが触れるたびに温もりで満たされる~
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2-12-1 「姿は全然違うのに」

2-12-1 「姿は全然違うのに」 耳より近く感じたい2



--音波の家


 片山とのメッセージのやり取りを終えた音波は、1階に下りて母親に声を掛ける。


「お母さん、この間言ってた、友達が撮った写真をパソコンに入れてくれるって話、今日の午後2時頃に来るって連絡が来たの」


 母親は音波に訊く。

「あら、そうなの?

 何ていう子?」


「片山成斗くんっていうの。

 前に話してた、その…///」


 音波が顔を赤らめるのを見て、母親は分かった。


「あら、そうなの。

 じゃあ、挨拶しないとねぇ。

 ふふっ、音波の好きな子だもんね」


「お母さんっ、///

 片山くん、女の人が…」


「ええ、分かってるわ、大丈夫よ」

「うん、ありがとうお母さん」


 音波は、病院に勤めている母親の理解に感謝し、自分の部屋に戻る。



 音波が2階に上がった後、音波の母親は夫の作業部屋のドアをノックする。


トントン、

「お父さん、入るわよ」

「いいぞ、何だ?」


 音波の母親はドアを開け、部屋に入る。


「お父さん、音波が好きな子が、午後に来るんだって」


「誰?」 

 エレキギターの弦を張り替えながら、音波の父親は尋ねる。


「片山セイトっていう男の子」

「ああ、音波を助けてくれた…結局あれから時間が経ってしまったな」


「なに?」

「いや、その片山くんて子、背中に傷痕があったんだよ。

 音波が小6の時に地震があっただろ?


 助け出された音波を見つけて抱きしめた時、

 『一人にしないで、あの子が死んじゃう』って音波が言ってたんだ」


「うん」

「片山くん、ガキの頃に女の子と生き埋めになりかけたって話してたんだ。

 音波は殆んど怪我してなかったし、当時のニュースでも子供の死亡記事は無かったから。

 音波が言ってた”あの子”って、もしかしてと思ってさ」


「じゃあ、会った時に訊いてみれば?」

「そうだな、でも彼もよく覚えてないらしい。

 樹は? 今日は来るのか?」


「夜に来るって電話があったわよ」

「夜か、夜なら大丈夫か」



--午後14時

 片山の乗ったバイクが、音波の家の前で停止する。


 2階の窓から外を見ていた音波は、部屋を出て階段を下り、靴を履いて玄関のドアを開ける。


「片山くん、」

 音波はパタパタと片山の傍に行く。


「音波、久し振り。

 バイク、どこに置けばいい?」

「こっちに置いていいよ」

「わかった」


 片山は音波に言われた位置にバイクを置き、ヘルメットを脱ぎ、バイクに掛ける。


「片山くん、さあ、上がって」

「うん」


 音波と片山は家に入る。

 玄関土間に入ったところで、音波の母親が笑顔で迎える。


「いらっしゃい、ゆっくりしていってね」


 片山は挨拶をし、頭を下げる。

「片山です、お邪魔します」


 靴を脱ぐ。


 そこへ、遅れて音波の父親が来る。


「あ、お父さん、片山くんだよ」


 音波の言葉で片山は顔を上げる。


「いらっしゃ…あ!!! …君、」


 片山を見て、音波の父親は言葉を失う。


 驚いた顔で見られ、片山は不安になる。

「…、」


「お父さん、どうしたの? そんなに驚いて。

 片山くんとは、去年会ってるでしょう?」


(ハッ、)

 娘に声を掛けられて、音波の父親は我に返る。


「あ、いや、何でもない…、眼鏡をかけていないから。

 ようこそ、音波が面倒を掛けてすまないね。

 よろしく頼むよ」

 父親は普段に戻り、笑顔で片山に言う。


「そう、片山くん、2階に行こう」

「…うん」

 片山は音波の父親に頭を下げる。



 娘と片山が階段を上がっていく後ろ姿を見て、音波の父親はボソリと言う。


「…、姿は全然違うのに、彼が一瞬…あいつに見えるなんて」



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有澄 奏 mimichika Project「耳より近く感じたい」小説補完用個人Webサイト  https://uzumi-sou.amebaownd.com/
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