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「耳より近く感じたい1~3」 ~ボクの命がたとえ繋がってたとしても、キミと出逢う為に生かされたと信じる~  作者: 有澄 奏
season2 ~全て拒絶してたボクの空っぽな心が、キミが触れるたびに温もりで満たされる~
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2-11-1 「1人じゃ、無理」

2-11-1 「1人じゃ、無理」 耳より近く感じたい2


--7月第5週、週末金曜日(7/31)


 片山は夜のたこ焼き屋のバイトを終えて、兄と住むマンションに帰宅した後、いつものように直ぐにシャワーを浴びる。


 22時を過ぎ、遅い夕食を食べるため、リビングに入りカウンターにスマホを置く。

 キッチンに移動しようとした時、スマホの電話の着信音が鳴った。


(こんな時間に誰だ?)


 相手を確認する。


「ルリねえ?」


 片山は電話に出る。

「…もしもし、どうかした?」


 電話の向こうからは、すこぶる元気で甘えた声で喋るルリの声が、少し離れて聞こえてくる。


[もしもし? あなた、セイちゃんって人ですか?]


「え、…はい、?」


 電話をかけてきた相手は違った。


[なんだ、女の親戚かと思ったら、コッチも男だったんだ。

 まあいいや、どっちでも。


 あの、すみませんけどルリを迎えに来て貰えませんか?

 ルリったら、20歳になったからって、お酒を飲み過ぎちゃったんですよ]


「…え、お酒?」

 片山は驚く。


[今、耿羽原あきはばらに居るんですけど、どのくらいで来れます?]


 片山は困った。

「何で俺に電話がかかってくるんですか?」


[ダイチって人に先に電話をかけたんだけど出なくて。

 親戚・東京で登録してあるの、後はセイちゃんって名前だけだったから]


 片山は数秒沈黙した後、電話の相手に応える。

「あー、そうですか、わかりました。

 迎えに行きます。30分ぐらいで着くと思います」


[本当ですか? よかった。

 それじゃあ店の名前と住所言いますね]


「…はい、_はい、分かりました、直ぐに向かいます」


[よろしくお願いしまーす]

プツッ、


「…はあ、」


 片山は急ぎ自分の部屋に向かい、 服を着替える。

 そして、コンタクトをつける。


 部屋を出ようとするが、戻りクローゼットを開ける。

 薄手の長袖の上着を取り、シャツの上に重ねて着る。


(兄さんが電話に出てたとしても、バイトで迎えに行けない、

 代わりに俺が迎えに行かないと…)


 片山は靴を履き、マンションを出た。



--耿羽原

 

 耿羽原に着いた片山はスマホのナビに従い、教えられた住所まで歩く。


 近くまで来た時、店から女性5人が出てきた。


 その5人の中にルリがいる。


 女子会でもしていたのだろうか?


 ルリと電話を掛けてきた女性以外に、あと3人もいるとは予想もしていなかった片山は、焦る。


 しかし、迎えに来た以上、ルリを引き取る為に女性たちに挨拶をしなければいけない。


(…まいったな、でも何とか頑張って耐えるしかない、)


 片山は意を決して、ルリを支えている女性に話しかける。


「あの、ルリを迎えにきました。

 ご迷惑をおかけして申し訳ありません」


 女性は驚いた顔で話す。

「え、あなたがセイちゃん?」

「はい、そうです」


 近くにいた3人が寄ってくる。

「なによルリったら、こんなイケメンの親戚がいるなんて知らなかった」

「連絡先交換しない?」

「ねえねえ、あなた今フリー?」


 こちらの女性たちも酔っているのだろう、積極的に近付いてくる。


「…、」

 片山は触れられないように、後ずさる。


 ここで、ルリが口を開く。

「ダメダメ、セイちゃんに触ったらダメえ、」


 支えてくれている友人から離れ、フラフラした足取りで片山のほうに歩くルリ。

 片山に近寄っていた3人をグイグイと押し戻す。


 両手を広げ、ルリが言う。

「セイちゃんに触ったらダメだからねえ、」


 酔っぱらいながらも自分の事を気にしてくれるルリを見て、片山は思う。


(さっきまで楽しく飲んでいただろうに、

 兄さんが迎えに来れたら良かったけど…、

 ルリ姉、ごめん…)


 片山は、ルリの腕を掴んで言う。

「もういいから、ルリ、帰ろう」


「じゃあ、ルリを宜しくね。

 私たちも帰ろう」

 ルリを支えていた女性がみんなに言う。


「じゃあね~親戚くん」

 片山とルリを残し、4人は駅へと歩いて行った。


 片山はルリに声を掛ける。

「ほら、ルリ、歩ける?」


 ルリは陽気に返事をする。

「ん~? 歩くよお~」


 横に並んで歩く片山とルリ。


 ルリの体がカクンとなる度に、片山はルリの腕を掴んで支える。


 片山の背中を汗が濡らす。


 暫く歩いていたが、

「…大智ぃ、もう歩けないぃ」


 ルリはそう言って止まり、片山の腕に絡みついた。


ビクゥッ!!

(あっ、)

 片山の身体に悪寒が走る。

 服で隠れている部分に鳥肌がたつ。


 腕を振り払いたいのを必死に我慢し、耐える片山。

「くっ…、ハァ、ハァ、」


(このままじゃ帰れない、

 酔っているせいか、ルリは俺を兄さんと間違えてる、

 これで、抱きつかれでもしたら…

 俺の症状が出てしまったら…危険だ、

 やっぱり俺1人じゃ、無理だ…)


「っ…」

 片山はスマホを取り出し、電話帳を開く。

 そして、電話を掛ける。


「…もしもし、片山と言います。

 仁井田さんと連絡を取りたいんですが…」


[…もう一度お宅様のお名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?]


「はい、片山です」


[カタヤマ様ですね、仁井田を呼び出しますので、少々お待ちください]


「お願いします」




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