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「耳より近く感じたい1~3」 ~ボクの命がたとえ繋がってたとしても、キミと出逢う為に生かされたと信じる~  作者: 有澄 奏
season2 ~全て拒絶してたボクの空っぽな心が、キミが触れるたびに温もりで満たされる~
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2-9-5 いつか…ギュッと

2-9-5 いつか…ギュッと 耳より近く感じたい2


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 樹の車が右折のウィンカーを上げ、左右を確認し、右折する。


 男子学生が丁度角を左に_車が通った道の方に曲がって歩いていく姿を横目に見る。


(あれは、音波と同じ学校の…)


 有料駐車場に車を停める為、樹は一旦実家を通り過ぎる。


 音波が丁度玄関の扉を開けて、家に入るところだ。


(音波、今帰ってきたのか?

 終業式なのに、ずいぶん遅いんだな)


 樹は車を停車させ、実家に帰る。

 そして、チャイムを鳴らす。


ピンポーン


ガチャリ、

「あ、樹お兄ちゃん、おかえりなさい」


 音波が笑顔で迎える。


「ただいま、音波」


 樹は両手を広げ、音波を抱きしめる。


 音波はゆっくりと、兄の背中に手を回す。


 そして、ギュッと力を入れる。


 音波はボソリと呟く。

「私もいつか、ギュッと抱きしめたいな…」


「え? 音波、今 何か言ったか?」

 樹には、音波の言葉が聞き取れなかった。


「ううん、何でもない」

 そう言って、音波は兄から離れる。


 樹は靴を脱ぎながら、音波に尋ねる。

「今日は終業式だったんだろう?

 今、帰って来たばかりなのか?」


「うん、友達と話してて遅くなったの」


「そうか」


 2人はリビングに移動する。


「それより、どうしたの? お兄ちゃん」

「ああ、音波に訊きたいことと、相談があってね」

「私に相談?」

 音波はキョトンとした顔で樹を見る。


「音波は夏休み、バイトするのか?」

「ううん、バイト今から探そうかなって思ってる」


「それなら、俺の仕事を手伝ってくれないかな?

 バイト代はきちんと出すから」

「え? お兄ちゃん仕事してるの?」

 音波は驚く。


「ああ、この1年で成長したんだ。

 だから人を増やそうと思っててね」


「どんな仕事?」

「パソコンを使う仕事。

 PCスキルも身につくし、面白いと思うよ。

 どうだ? 音波、お兄ちゃんを助けると思って、やってみないか?」


 音波は考える。


 片山はバイト2つと部活と、片山の兄・大智の手伝い等で忙しい。


 自分は今のところ、8月の大学合同軽音祭に行く予定しかない。

 家でゴロゴロしていても勿体無い。


 音波は決めた。


「うん、お兄ちゃん、やってみたい。

 私じゃ、あまり役に立たないかもしれないけど」


「そんな事無いよ、音波。

 音波が近くに居てくれたら、俺のモチベーションが上がるから」

「え? そうなの?」


「父さんたちが帰ってきたら、ちゃんと話をするよ。

 兄妹といっても、雇いと雇われになるからね」


「うん、わかった。

 それじゃあ私、着替えてくるね」

 そう言って、音波はバッグを持ち、2階へ行く。


「ああ、着替えておいで」


 音波の後姿を見ながら、樹は思う。


(音波の近況を少しでも知る事が出来れば…

 この前の服を貰ったと言っていた相手も気になる…

 それに、さっきの学生、音波の……)


 そして、音波も思う。


(片山くんの助けになれるように、私も成長しないと…)



 樹は音波の事を考え、音波は片山の事を考える。



ーー

 音波は、兄・樹の仕事を週2日から週4日の予定で手伝うことになった。


 基本土日休みで、時間は午前からだったり午後からだったり、樹の都合で変わる。


 樹の、「絶対に休みたい日はあるか?」の質問に対しては、片山と確実に会える日、DOSE.(ドース)が参加する8月の大学合同軽音祭の日だけを伝えた。


 片山には、兄のところでアルバイトをすることを、チャットのプライベートメッセージで報告した。


 片山からは、「わかった」と返信が届いた。


 こうして、音波と片山の夏休みが始まった。



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有澄 奏 mimichika Project「耳より近く感じたい」小説補完用個人Webサイト  https://uzumi-sou.amebaownd.com/
UZUMI-SOUのブログ https://ameblo.jp/uzumi-sou/
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