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役立たずの冒険者、スキル覚醒で得た魔剣と魔道具で世界最強に至る  作者: 六志麻あさ @『死亡ルート確定の悪役貴族2』発売中!
第8章 氷結都市のダンジョン、攻略

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84/90

1 無敵の進撃

書籍版直後の話になります!


 アリシアや仲間たちとともに『氷結都市のダンジョン』攻略を目指していた俺は、途中で迷いこんだEXステージを脱出し、ふたたびダンジョン内を進んでいた。


 現在は第二十三階層だ。


「行け、アバター!」


 俺は三体のアバターを前面に押し出し、ダンジョン内をサクサク進んでいた。


 前衛を務める『戦士』のアバターが敵モンスターを斬り伏せる。

 後衛から『魔導師』のアバターが魔法攻撃で残った敵モンスターを吹き飛ばす。


 さらに――新たに加わった『竜戦士』のアバターが縦横無尽に暴れ回っていた。


 こいつは竜の頭に人間の体をしたデザインで、メイン武器は爪や牙、尾といった肉弾攻撃である。

『戦士』のアバターと違って武器は持っていない。

 そして、口から吐く火球によって遠距離攻撃もこなす。


『戦士』と『魔導師』のいいとこどりをしたような、強力なアバターだった。


 ただし、燃費は他の二体よりもだいぶ悪い。

 ある程度戦うと、あっという間にエネルギー切れを起こしてしまう。

 そう、今も――、


「あっ、またか」


『竜戦士』は戦いの途中で目から光を失い、その場にうずくまった。

 エネルギー切れである。


「ここぞというとき以外は温存しないと駄目だな、こいつ」

「強いんですけどねー。体力がないんでしょうか」

「体力っていうか、エネルギーっていうか」


 アリシアの言葉に解説する俺。


「体力つけるためには、たくさん食べないとっ」

「いや、こいつら生物じゃないからな」


 アバターのことをキチンと理解してないっぽいアリシアに、俺は苦笑交じりにツッコミを入れた。




 俺たちはゆるやかにカーブする通路を進んでいた。


「ねーねー、このダンジョンを制覇したらゼノとアリシアはどうするの?」


 マーヤがたずねる。


「あたしたちとはお別れ?」

「えっ」

「いちおう臨時パーティでしょ、これって。もともとはレアモンスター狩りのために合同でダンジョン探索してたわけだし」

「まあ、正式にパーティメンバーになったわけじゃないしな」


 ちなみにパーティメンバーは冒険者ギルドに登録する決まりだ。

 今の俺とアリシアはグラントのパーティの臨時メンバーとして登録していた。


「あたしはこれからもゼノやアリシアと一緒に冒険したいなー」

「そうね」


 と、カチュア。


「君たちみたいなクールなメンバー、なかなか出会えないもの」

「戦力的にも、特にゼノはこのパーティのエースだからな」


 グラントが笑う。


「これからも俺たちに力を貸してくれるなら、これほどありがたいことはない」

「うむ」


 短くうなずくギラール。


 俺も、できればみんなと一緒にいたいと思っていた。


 アリシアはどうなんだろう?

 ちらりと横目で見ると、


「あたしも……別れたくないです」


 目がウルウルしていた。


「アリシア……?」

「ううう……」

「いや、別れるって決まったわけじゃないからな! というか、むしろ別れない流れだったろ!?」

「えっ、そうなんです?」


 アリシアはキョトンとした。

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