1 無敵の進撃
書籍版直後の話になります!
アリシアや仲間たちとともに『氷結都市のダンジョン』攻略を目指していた俺は、途中で迷いこんだEXステージを脱出し、ふたたびダンジョン内を進んでいた。
現在は第二十三階層だ。
「行け、アバター!」
俺は三体のアバターを前面に押し出し、ダンジョン内をサクサク進んでいた。
前衛を務める『戦士』のアバターが敵モンスターを斬り伏せる。
後衛から『魔導師』のアバターが魔法攻撃で残った敵モンスターを吹き飛ばす。
さらに――新たに加わった『竜戦士』のアバターが縦横無尽に暴れ回っていた。
こいつは竜の頭に人間の体をしたデザインで、メイン武器は爪や牙、尾といった肉弾攻撃である。
『戦士』のアバターと違って武器は持っていない。
そして、口から吐く火球によって遠距離攻撃もこなす。
『戦士』と『魔導師』のいいとこどりをしたような、強力なアバターだった。
ただし、燃費は他の二体よりもだいぶ悪い。
ある程度戦うと、あっという間にエネルギー切れを起こしてしまう。
そう、今も――、
「あっ、またか」
『竜戦士』は戦いの途中で目から光を失い、その場にうずくまった。
エネルギー切れである。
「ここぞというとき以外は温存しないと駄目だな、こいつ」
「強いんですけどねー。体力がないんでしょうか」
「体力っていうか、エネルギーっていうか」
アリシアの言葉に解説する俺。
「体力つけるためには、たくさん食べないとっ」
「いや、こいつら生物じゃないからな」
アバターのことをキチンと理解してないっぽいアリシアに、俺は苦笑交じりにツッコミを入れた。
俺たちはゆるやかにカーブする通路を進んでいた。
「ねーねー、このダンジョンを制覇したらゼノとアリシアはどうするの?」
マーヤがたずねる。
「あたしたちとはお別れ?」
「えっ」
「いちおう臨時パーティでしょ、これって。もともとはレアモンスター狩りのために合同でダンジョン探索してたわけだし」
「まあ、正式にパーティメンバーになったわけじゃないしな」
ちなみにパーティメンバーは冒険者ギルドに登録する決まりだ。
今の俺とアリシアはグラントのパーティの臨時メンバーとして登録していた。
「あたしはこれからもゼノやアリシアと一緒に冒険したいなー」
「そうね」
と、カチュア。
「君たちみたいなクールなメンバー、なかなか出会えないもの」
「戦力的にも、特にゼノはこのパーティのエースだからな」
グラントが笑う。
「これからも俺たちに力を貸してくれるなら、これほどありがたいことはない」
「うむ」
短くうなずくギラール。
俺も、できればみんなと一緒にいたいと思っていた。
アリシアはどうなんだろう?
ちらりと横目で見ると、
「あたしも……別れたくないです」
目がウルウルしていた。
「アリシア……?」
「ううう……」
「いや、別れるって決まったわけじゃないからな! というか、むしろ別れない流れだったろ!?」
「えっ、そうなんです?」
アリシアはキョトンとした。
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