9 そして冒険は続く
気が付くと、俺は元の場所にいた。
そう、落とし穴(?)に落ちる前の場所だ。
「戻ってきた……のか?」
「ゼノさん!」
と、アリシアが駆け寄ってきた。
「姿が見えないから心配しました……」
「悪い。なんか変な場所に迷いこんだみたいで」
俺はアリシアに頭を下げる。
それから、みんなにも、
「悪かった。はぐれて、なかなか合流できなくて」
「いや、無事で何よりだ」
グラントが笑う。
「しかし、十分くらい姿が見えなかったが、どこにいたんだ? 穴の中を探したが、姿が見当たらなかったぞ」
「十分?」
――ということは、俺がEXステージにいた時間と、この世界の時間はズレがあるのかもしれないな。
「実は――」
俺はみんなと離れていた間のことを説明した。
「へえ、天使に混沌石……? あの伝説の――」
興味をひかれたような顔をしたのは、エルフ娘のカチュアだ。
「何か知ってるのか、カチュア」
「私たちエルフの伝承にあるのよ。混沌石って」
「魔石とは違うのか、これ?」
と、懐から混沌石を取り出す。
「そうね……おおざっぱに言うと、魔石の上位存在というところかしら」
「上位存在……」
「あ、そうだ。この混沌石を使って『竜戦士』のアバターを入手できるようになったんだった」
混沌石がこれからどれくらいの頻度で手に入るか分からない。
とはいえ、アバターは非常に有用な戦力だ。
『戦士』も『魔導師』もダンジョン攻略の主力と言っていい。
なら、三体目のアバターはぜひ入手しておきたい。
「混沌石は二つあるし、一つ使うか」
俺はしばらく考えた後、決断した。
『戦士』と『魔導師』のアバターはいずれもダンジョン探索で大活躍してくれている。
この三つ目のアバターもきっと強力な味方になってくれるだろう。
「【アイテム交換所】を起動。『竜戦士』のアバターとこいつを交換だ」
必要な魔石や混沌石を並べ、スキルを発動する。
次の瞬間、
ず……んっ!
地響きを立てて『竜戦士』のアバターが地面に降り立った。
全長は五メートルほど。
素体は『戦士』や『魔導師』と同じく黒い棒人間といった感じで、その全身に真紅の装甲をまとっている。
背中からは翼が、腰からは尾が伸びていた。
そして頭部は獰猛な竜の顔だ。
「よろしく頼むぞ、『竜戦士』」
俺は新たな味方に声をかけた。
これでさらに戦力アップだ。
「よし、引き続き『氷結都市のダンジョン』制覇を目指して――」
俺の冒険は、まだまだ続く。
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