8 帰還へ
「混沌石……?」
俺はその二つの石をまじまじと見つめた。
「もしかして、三つ目のアバターの交換条件に書いてたやつか?」
「そうだね。特別なアイテムの交換に使えるんじゃないかな」
ルーファスがにっこり笑う。
「光と闇のはざまに生まれる超レアな魔石さ。これから先、きっと君の役に立ってくれるよ」
「超レアな魔石……か」
その後、俺たちはさらに通路を進んだ。
「いや、本当に助かったよ。『侵食者』を倒せる人間は限られているからね」
「俺だけの力じゃない。アムや……お前だって助けてくれただろ」
「あはは、僕は直接戦うことはできないけどね。なんとか君の役に立ててよかったよ」
笑うルーファス。
「なあ……他のダンジョンにもここみたいな場所があるのか」
「EXステージかい?」
「それに……『侵食者』ってやつは他の場所からも生まれるのか?」
「うーん……その問いはどちらもイエスだね」
と、ルーファス。
「ちなみにダンジョンのランクが高いほど、EXステージの難易度も上がるよ」
「じゃあ、もっと高ランクのダンジョンに行けば、もっと……」
「当然、ここよりも難易度が高い。鬼高いね」
「鬼なのか」
「鬼だね」
ルーファスはなぜか嬉しそうだ。
「そして――そこから生み出される『侵食者』もステージランクに応じて強くなる」
「……さっき戦ったやつよりも?」
「当然」
ルーファスはますます嬉しそうだ。
「それって……おおげさじゃなく世界の危機じゃないか? たとえば最高難度のダンジョンにつながってるEXステージがあったら、そこからはとんでもない強さの『侵食者』が出てくるってことじゃないか」
「そうだね……そういうのは、俗に魔王とか魔神とか呼ばれたりするね」
「な、何……!?」
そのとき、前方から光があふれ出した。
「あ、EXステージの出口だね」
と、ルーファス。
「僕は人間の世界に直接踏み入れることができないんだ」
「えっ」
「さっきの天使の女の子も異空間でしか会えなかっただろう? ここは一種の異空間だから例外的に現界できたけど」
ルーファスが説明した。
「だから、ここでお別れだ。僕は別の空間に行くよ。君は元の場所へ戻るといい」
「ルーファス……」
「ここまでありがとう、ゼノくん」
「ん?」
「ひさびさに人間と一緒に冒険できて楽しかったよ」
ルーファスが微笑む。
本当に嬉しそうな笑顔だ。
「友だちになってくれて――ありがとう」
「まあ、勢いに押されて、な」
俺は苦笑交じりに言った。
「なあ、ルーファス。俺たち、また会えるのか?」
俺はルーファスにたずねた。
「はは、友だちだからね。きっと再会できるよ」
笑みを深めながら、ルーファスの姿がゆっくりと薄れていく。
「またね」
微笑んだまま、天使の少年は静かに姿を消した。
「また……な」
そのときお前は――。
『友だち』として、俺の前に立ってくれるのか?
それとも――。
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