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役立たずの冒険者、スキル覚醒で得た魔剣と魔道具で世界最強に至る  作者: 六志麻あさ @『死亡ルート確定の悪役貴族2』発売中!
第7章 世界の敵

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8 帰還へ


「混沌石……?」


 俺はその二つの石をまじまじと見つめた。


「もしかして、三つ目のアバターの交換条件に書いてたやつか?」

「そうだね。特別なアイテムの交換に使えるんじゃないかな」


 ルーファスがにっこり笑う。


「光と闇のはざまに生まれる超レアな魔石さ。これから先、きっと君の役に立ってくれるよ」

「超レアな魔石……か」




 その後、俺たちはさらに通路を進んだ。


「いや、本当に助かったよ。『侵食者』を倒せる人間は限られているからね」

「俺だけの力じゃない。アムや……お前だって助けてくれただろ」

「あはは、僕は直接戦うことはできないけどね。なんとか君の役に立ててよかったよ」


 笑うルーファス。


「なあ……他のダンジョンにもここみたいな場所があるのか」

「EXステージかい?」

「それに……『侵食者』ってやつは他の場所からも生まれるのか?」

「うーん……その問いはどちらもイエスだね」


 と、ルーファス。


「ちなみにダンジョンのランクが高いほど、EXステージの難易度も上がるよ」

「じゃあ、もっと高ランクのダンジョンに行けば、もっと……」

「当然、ここよりも難易度が高い。鬼高いね」

「鬼なのか」

「鬼だね」


 ルーファスはなぜか嬉しそうだ。


「そして――そこから生み出される『侵食者』もステージランクに応じて強くなる」

「……さっき戦ったやつよりも?」

「当然」


 ルーファスはますます嬉しそうだ。


「それって……おおげさじゃなく世界の危機じゃないか? たとえば最高難度のダンジョンにつながってるEXステージがあったら、そこからはとんでもない強さの『侵食者』が出てくるってことじゃないか」

「そうだね……そういうのは、俗に魔王とか魔神とか呼ばれたりするね」

「な、何……!?」


 そのとき、前方から光があふれ出した。


「あ、EXステージの出口だね」


 と、ルーファス。


「僕は人間の世界に直接踏み入れることができないんだ」

「えっ」

「さっきの天使の女の子も異空間でしか会えなかっただろう? ここは一種の異空間だから例外的に現界できたけど」


 ルーファスが説明した。


「だから、ここでお別れだ。僕は別の空間に行くよ。君は元の場所へ戻るといい」

「ルーファス……」

「ここまでありがとう、ゼノくん」

「ん?」

「ひさびさに人間と一緒に冒険できて楽しかったよ」


 ルーファスが微笑む。


 本当に嬉しそうな笑顔だ。


「友だちになってくれて――ありがとう」

「まあ、勢いに押されて、な」


 俺は苦笑交じりに言った。


「なあ、ルーファス。俺たち、また会えるのか?」


 俺はルーファスにたずねた。


「はは、友だちだからね。きっと再会できるよ」


 笑みを深めながら、ルーファスの姿がゆっくりと薄れていく。


「またね」


 微笑んだまま、天使の少年は静かに姿を消した。


「また……な」


 そのときお前は――。

『友だち』として、俺の前に立ってくれるのか?


 それとも――。


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