3 VS『侵食者』3
「なるほど。神の力を付与されるのにふさわしい精神だ」
ルーファスが笑った。
「いや、君の場合はキリ番――単なる偶然で力をもらったんだっけ、ふふ。偶然とはいえ、持つべき者に力が渡った、か。あるいはこれこそが運命なのか――」
「理由がなんであれ、俺には戦う力があるんだ。だから人を助けるために使う――それだけだろ」
「立派な心掛けだよ」
ルーファスが笑みを深くした。
「よし、これを貸してあげるよ」
ぽんっ。
白い煙が上がり、俺の前に細長い板が出現した。
「なんだ、これ……?」
「『フライトボード』。空を飛ぶための道具さ」
微笑むルーファス。
「『侵食者』は飛べるからね。君も飛行手段を持っておかないと、戦うどころか攻撃することさえ難しい」
「……分かった。使わせてもらう」
「じゃあ、使い方を簡単に説明するね――」
俺はルーファスに『フライトボード』の使い方を教わると、ボードに飛び乗った。
「お、意外と安定してるな」
もっとグラグラと揺れるのかと思ったけど、両足がボードにぴったり吸い付く感じで、落ちそうな不安感が全然ない。
これなら――飛べる!
「いっくぞー!」
俺はルーファスから借りた『フライトボード』に乗って、洞窟を飛びだした。
そのまま『侵食者』に近づいていく。
「我は『侵食者』――刻印名『アウシル』……!」
黒い巨人が俺をにらんだ。
「アウシル……?」
「この世界は我らのもの――」
アウシルの六つの目が俺をにらむ。
憎々しげに。
「侵略者よ……人間よ……おとなしくこの世界から立ち去れ……」
「侵略者? 人間が、か?」
「神の策略により、我らはこの地を追われ――そして悠久の時を経て、戻ってきた……『侵食者』と名付けられたが……我らこそは、この地への『帰還者』なり……!」
なんだか、妙に壮大そうな話だ。
「じゃあ、後は任せたよ、ゼノくん。僕は安全な場所で応援してるよ。ふれーふれー、ゼノくんっ」
「気楽に言ってくれるな……」
俺は苦笑交じりにため息をついた。
「ま、そういうことなら……一人でがんばるか」
魔剣を呼び出す。
残りは――十二本か。
「いっけぇぇぇぇぇっ!」
まず五本の魔剣をいっせいに射出した。
がききいいいんっ!
そのすべてが奴の表面装甲に触れたとたん、砕け散る。
「なんだと――!?」
「我が装甲は超振動している……触れただけで砕ける……」
「ご丁寧な解説、どうも」
軽口を叩くが、状況はなかなかシビアだ。
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