1 VS『侵食者』1
『戦士』と『魔導師』、二体のアバターが『侵食者』に向かっていく。
るおおおおおおっ。
雄たけびを上げて、『侵食者』が六本の腕を振り回した。
巨大な竜巻が起こって二体のアバターが吹き飛ばされる。
「こいつ……!」
竜巻の風圧が強すぎて、アバターたちが近づけない。
おんっ。
『侵食者』の翼が発光し、赤い光線が放たれた。
真っすぐ突き進み、ダンジョンの壁に大穴を開ける。
外の景色が見えた。
小高い丘の下に、小さな村が見える。
『侵食者』は壁の穴に向かっていた。
「外に出る気か!? させるか――」
俺はアイテム置き場からバインドガンを取り出し、構えた。
あの巨体に通じるか分からないけど、こいつで拘束して動きを止めてやる。
発射――。
銃から放たれた光のロープが『侵食者』の巨体に絡みついた。
「よし、これで――」
多少なりとも動きを止められるはずだ。
その間にアバター二体と俺の魔剣や魔法弾で総攻撃をかける――。
バチィッ!
だが、巨体を拘束したロープは一種で引きちぎられた。
「なんてパワーだ」
「さすがに強いねぇ」
のんきな感想をもらすルーファス。
「こいつ、完全に観戦者モードだな……」
俺はため息をつきつつ、
「なら、これでどうだ!」
次は魔法弾を放った。
ごうっ、ごうんっ!
次々と着弾するが、『侵食者』はまったく歩みを止めない。
体の表面にかすかな焦げ目がついた程度だった。
ノーダメージだろう。
飛び道具は通じない、か。
ならば――、
「アバターたち! あいつを止めろ!」
言いつつ、魔剣を抜く俺。
危険だけど接近戦を仕掛けるしかない。
俺は二体のアバターとともに突っこんだ。
『侵食者』がこちらを向く。
六本の腕を大きく振り上げた。
「またさっきの竜巻を撃ってくる気か……!」
すかさず『魔導師』のアバターが魔力弾を放った。
俺も手持ちの魔法弾を放つ。
狙いは『侵食者』の右の一番上にある腕。
ごうんっ!
全弾命中!
うおおおおんっ。
『侵食者』は苦鳴を上げた。
俺たちの爆撃を受けた腕が、だらりと下がっている。
『侵食者』は俺たちを憎々しげににらんだが、竜巻は撃ってこない。
六本のうち一本でも負傷すると出せないようだ。
よし、これで竜巻は封じた。
奴に肉薄して接近戦だ。
俺と二体のアバターは『侵食者』との距離を一気に詰めた。
『魔導師』が炎や雷を放ち、『侵食者』を牽制する。
さらに、俺が魔剣を次々に投げつけた。
矢のように降り注ぐ五本の魔剣を、
ごううっ!
『侵食者』は口から吐き出した火炎で焼き溶かした。
そして、反撃の竜巻攻撃。
「うわっ……!」
俺たちはまとめて吹き飛ばされ、せっかく詰めた距離がまた離れてしまった。
「こいつ……っ」
強い。
今まで戦ったことがある中ボスやフロアボスとは桁が違う――。
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