9 天使の贈り物
「別に友だちになったつもりはないけど……」
「えっ、違うの!?」
ルーファスはショックを受けたようだった。
「だって、会ったばかりだし……」
「せっかく気の合う人間を見つけたと思ったのに……思ったのに……」
「い、いや、ほら、これから友だちになるかもしれないし」
「天界じゃ一人も友だちがいなくて、ぼっち街道まっしぐらだったのに……そんな僕にもようやく心を開ける友ができたと思ったのに……思ったのに……」
「あー、分かったよ! 友だちでいい! 俺とお前は友だち! これでいいか!」
「ははは、それでこそ我が親友だ」
一秒で立ち直りやがった、こいつ。
俺たちはさらに進んだ。
「友だち♪ 友だち♪ 僕らは友だち♪」
ルーファスはさっきからずっと上機嫌で、歌まで歌っている。
俺が友だち宣言したのがよほど嬉しかったらしい。
「単純な奴……」
「ん? 何か言ったかい、我が友よ」
「なんでもない」
でも、まあ……そこまで喜んでくれると、ちょっとだけ俺も嬉しいかな。
「もうすぐ出口だよ」
ルーファスが言った。
「この先の角を曲がって、まっすぐ進めばたどり着く」
「そうか。やっと出られるんだな」
俺はホッと一安心だった。
と、そのときだった。
うおおおおおんっ。
うおおおおおんっ。
ぶるるるおおんっ。
何かがうなるような音は、何かの生物の声のようだ。
重層的に響く不気味な声に、俺は自然と警戒態勢に入る。
「――まずいな」
ルーファスがつぶやいた。
さっきまでのお気楽口調ではなく、真剣な声だ。
「どうした?」
「奴が、目覚めた」
俺の問いに答えるルーファス。
「『侵食者』が、ね」
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