8 天使の役割
「天使――だって?」
「ダンジョンには中ボスやフロアボスとして人間を待ち構えている天使もいるからね」
もしかしたら、あの『炎の武人』も天使の一種だったんだろうか。
「まあ、僕は堕天使だけどね。ふふふ」
「えっ」
「ところで、君からは天使の気配がするね。力の質が人間よりも神に近い」
ルーファスが微笑んだ。
そういえば、アイテム交換所にいる店主は『天使』なわけだが……俺のスキルが神の力に近い、っていうのも、その辺が原因なんだろうか?
「力って――俺のスキルのことを言ってるのか?」
「そうだよ。本来、人間が持つスキルというのは、あくまでもその人間が持つ固有能力を言い表したものに過ぎない。『人としての能力』なんだ。でも、君は違う」
「俺が、神の力を持っているっていうのか?」
「そうだね。正確に言うなら『人の力』と『神の力』が混ざり合っているみたいだ」
ルーファスが俺を見つめる。
「混じり合う――」
「君は、その力をどうやって手に入れたんだい?」
「俺の、このスキルは……」
――俺はスキル【アイテム交換所】を会得した経緯を簡単に説明した。
「なるほど……キリ番か。あの方らしいね」
「えっ」
「君のスキルを進化させたのは、まさに神――聖神ゼルク様だよ」
ルーファスが説明する。
「もともとの君のスキルが神の力で進化した――人と神の混合スキル。それが君の【アイテム交換所】の本質だね」
「人と、神の――」
「だからこそ、スキル内の空間――『アイテム交換所』に行くと天使に出会えるんだろう。天使とは、神の力の執行者だからね」
ルーファスが語る。
「なんか……それっぽい説明だな。まるで本当に天使みたいだ」
「いや、僕は本当に天使だからね!?」
抗議するルーファス。
「君はいずれ、もっと神の力に迫れるかもしれないね。この先も試練を勝ち抜いていけば」
ルーファスが意味深なことを言った。
「僕ら天使は基本的に人間の味方だよ。今日出会えたのは、半ば偶然だ。けど運命ともいえる。だから――」
右手を差し出すルーファス。
一枚の札を持っていた。
「これは……?」
「『天使のチケット』。お近づきのしるしさ」
ルーファスがにっこりと言った。
「まあ、護符みたいなものだと思ってもらえばいいよ。僕らが友だちになった証だね」
護符の表面に何も書かれていない。
これ、どういうアイテムなんだ……?
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