7 ダンジョンの成り立ちについて
書籍化に合わせてタイトル変更です! 後書きにて書影公開していますので、ぜひ見てください~!
「ありがとう。僕は戦闘が苦手だから助かったよ」
「まあ、アバターに任せっきりだったけどな、はは」
礼を言うルーファスに、俺は苦笑を返した。
「ルーファスはここから出られない、って言ってたよな? このダンジョン内で暮らしてるってことか?」
「そうだよ」
「食べ物とかはどうしてるんだ?」
「モンスターを倒して肉を食べたりするし、植物が生えている場所だっていくつもあるんだ。後は特定のポイントでは栽培もできる。ついでに魚がいる水場も、数は少ないけどあるんだよ」
「へえ……ダンジョンって意外といろいろなところがあるんだな」
「そうだね。一般的なイメージとしては、ただの洞窟だったり迷宮だったりするんだろうけど、実際は全然違うんだよ」
ルーファスが嬉しそうに解説する。
ダンジョン内の生活が気に入ってるんだろうか。
俺たちはさらに進んだ。
しばらくして、巨大な祭壇を備えたホールにたどり着く。
「これは――?」
白い、人型の銅像。
四肢が異様に長く、顔には髑髏に似た仮面がつけられている。
「聖神ゼルクの像だね」
ルーファスが言った。
「ゼルク……?」
それは、全世界にダンジョンを生み出したと言われる神の名前だ。
「ダンジョンはね、ゼルク神たちが作り上げた迷宮なんだ」
「神が……?」
いや、神『たち』が――か。
「で、神といっても人に好意的な存在もいれば、その逆もいる」
「……以前にも似たような話を聞いたことがあるよ」
思い出す俺。
そう、それはあのEランクダンジョンのフロアボス『炎の武人』と戦ったときだ。
「ああ、もしかして――僕の眷属から聞いたのかな?」
と、ルーファス。
「眷属……?」
「僕ら天使は人を導くために、この世界で活動しているんだよ」
ルーファスがにっこりと笑った。





