6 ルーファス2
後書きにてお知らせがあります。
「いや~、君と話していると落ち着くよ、ゼノくん」
ルーファスが笑顔で言った。
「このまま、ここで駄弁っていたいくらいだよ」
「出口を探すのが先だろ」
俺は苦笑しつつも、ルーファスの言うことに少なからず共感していた。
ここがダンジョンじゃなく酒場だったら、きっと楽しく何時間も過ごせただろうな。
そんな感覚――。
と、そのとき、俺の中で『何か』がざわめいた。
「止まれ」
ルーファスに警告する。
「ん?」
「この先に何かいる」
そう、俺のカンにピンと触れたのだ。
危険な何かがいる、と。
「行け、アバター」
『戦士』と『魔導師』、二体のアバターを放った。
「へえ、アバター持ちか。まだレベル1みたいだけど、それでも二体持っているのはすごいね」
「レベル1……?」
なんのことだ?
アバターにも、人間のステータスみたいに『レベル』が存在するのか?
そんなこと、アムは一言も言ってなかったが――。
「いや、そもそもお前、アバターのことを知ってるのか?」
「そりゃ、知ってるよ。天界でしか製造できない神造兵器――魔導分身体だからね」
「神造兵器……?」
俺はますます眉を寄せた。
これもアムからは聞いていない情報だ。
アバターはしばらく進むと、そこで歩みを止めた。
「どうした、アバター?」
戸惑ったように周囲を見回している。
「ゼノくん、床だ!」
ルーファスが叫んだ。
「床?」
目を凝らせば、前方10メートルくらいの床の上に小さな目玉が見える。
「敵モンスターか……!?」
「『這い寄る目玉』だね」
ルーファスが言った。
「モンスターの射程距離内でにらまれると、30パーセントの確率で石化か毒殺されちゃうよ。危険危険♪」
「妙に楽しそうだけど、本当に危険だよな」
「うん、気を付けた方がいい。ちなみに射程距離は10メートル」
ずりずり……。
目玉が這いながら近づいてきた。
「いや、ほぼ10メートル以内まで来てるじゃねーか、これ!?」
さすがに慌てる俺。
「奴を倒せ、アバター!」
『魔導師』のアバターに攻撃魔法を使わせ、何とか倒した。
「ふう、びっくりした……」
俺は額の汗をぬぐった。
「いやー、意外と近づいてたね」
ルーファスがあっけらかんと笑う。
こいつ、全然動じないな。
天然なのか、あるいは案外大物なのか――。
【書籍化のご報告】
本作がスターツ出版・グラストNOVELS様から書籍化されることになりました。来年1月発売予定です。これも読んでくださる方々の応援のおかげです。ありがとうございます……!
担当イラストレーター様などの詳細はおってご報告いたします~!





