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7 帰還

 リトルミノタウロスを倒した後、俺はいったんダンジョンから帰還した。


 ちなみにリトルミノタウロスからは魔石Rを三個もゲットできた。

 リトルミノタウロスから得た魔石R三個は『魔導加速装置』と交換した。


 こいつを装備して稼働状態にすると、装着者のスピードを五倍に引き上げてくれる。

 稼働時間は一回につき十五分。

 その後は一時間の待機時間(クールタイム)が発生する。


 魔石Nに換算すると百五十個分で、ちょっと勇気がいる決断だったけどな。

 何せ普段の俺の稼ぎでいえば、十五日分くらいだ。

 だけど、『魔導加速装置』は後々の戦いで役に立ってくれそうだし、先行投資として入手するのはアリだろう。


 見た目としては小さな腕輪で、俺はさっそく左腕に装着している。


「よう、ゼノ」


 と、ギルドの入り口前で、冒険者たちから声をかけられた。


「お前が『月光都市のダンジョン』の第十二層まで到達した? 嘘だろ」

「確か、十二層には中ボスのリトルミノタウロスがいるんじゃ……」

「ああ、なんとか倒せたよ」


 驚く冒険者たちに、俺は苦笑交じりに言った。


 俺が持っているのは魔石とリトルミノタウロスの角。

 こいつを換金すれば、それなりの金になる。


 と、その冒険者たちがいきなり俺を取り囲んだ。


 ん、なんだ?


「おい、まじで素材を持ってんのか」

「へへへ、かなりの金になりそうだな」

「なあ、そいつを俺たちによこせよ」

「お前ごときがリトルミノタウロスを倒せるなんておかしいよな? もしかして他のパーティの手柄を横取りでもしたんじゃねーの?」


 いきなり絡まれてしまった。


 いや、最初から絡んでくるつもりだったのかもしれないな。


 俺は最底辺の冒険者で、しかもソロだ。

 誰からも見下されてるし、誰にも守ってもらえない立場だ。


「だからこそ――自分の身は自分で守るしかないよな」

「何?」

「ごちゃごちゃ言ってねーで、早くよこせよ!」


 冒険者の一人が殴りかかってきた。


 いきなり暴力に訴えるとは……血の気の多い奴だ。


 奴らはおそらくレベル50前後。

 その一撃は十分なスピードが乗っていて、以前の俺なら避けることも防ぐこともできず、ぶっ飛ばされていただろう。


 だけど、今は違う。


「見える――」


 短期間とはいえ、ダンジョンに潜ってハードな戦闘を何度も経験し、少しは度胸もついたかな。

 レベルも三つ上がったし、奴らの攻撃がよく見える。


 とはいえ、さすがに能力差を逆転するほどじゃないだろう。


「だから――こいつの出番だ」


 さっそく頼むぞ、『魔導加速装置』。


 俺は装置を稼働状態にした。


「っ……!」


 両足に、力がみなぎる。

 地面を、蹴る。


 ぐんっ!


 すさまじいスピードで、俺は奴らの間を駆け抜けた。


「なっ……!?」


 奴らは呆気に取られている。


「ちいっ!」


 一人が殴りかかってきたが、俺は余裕で回りこんで避けた。

 それから膝カックンを仕掛けて倒す。


「うおっ!?」


 さらに別の奴にも超スピードで回りこんで膝カックン。

 もう一人も、残りの一人も――。

 全員に膝カックンして、その場に倒れさせた。


「な、なんなんだ、お前――」

「は、速すぎる……化け物か」


 純粋にレベルの話でいえば、彼らがいずれもレベル50前後で俺はレベル39――俺の方が弱い。

 けど、スピードをここまで引き上げれば、さすがに圧倒的なアドバンテージを取ることができる、ってことだ。


 呆然とする彼らを見下ろし、俺はギルドに向かった。

 別に本格的に喧嘩したいわけじゃない。


 ギルドにこいつらの狼藉を報告するくらいでいいか。


「あ、でも、次に因縁付けてきたら『本気』で行くからな」


 いちおう釘をさしておく。


「ひ、ひいいいいいいい」

「も、申し訳ありませんでしたぁぁぁ!」


 土下座する彼らを尻目に、俺はギルドの建物に入っていった。

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― 新着の感想 ―
[一言] ギルドの入り口近くで横取りが出来るなんて、ここの町の治安とギルドの管理体制が悪すぎるだろ。
[一言] 膝カックンで戦意喪失する冒険者。 剣を目の前に突き付けたわけでもないのにここまで怯えますかね? そんなんで冒険者できるんでしょうか? 仮にゴブリンが最弱の魔物だとして、そいつが武器もって襲っ…
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