3 アクシデント
「もしかして……モフモフしたいですか?」
アリシアが小首をかしげた。
狐耳がぴょこぴょこ揺れている。
尻尾もぴょこぴょこ揺れている。
ううっ、可愛いぞ……っ!
俺の中でアリシアを愛でたい気持ちがどこまでも燃え上がった。
「この気持ち、まさしく萌えだ……」
熱情を込めてつぶやく俺。
と、そのときだった。
がらがらがらがらっ……!
「えっ――!?」
何の前触れもなく、俺の足下がいきなり崩落する。
落とし穴のトラップか!?
それとも自然の崩落現象なのか。
どちらとも分からないまま、俺は一気に落下していく――。
「ゼノさん!」
「う、うわぁぁぁぁぁっ……」
あっという間に数メートルも落ちたけど、まだ落下は止まらない。
「ど、どこまで落ちていくんだ――」
暗がりの中に、俺の悲鳴が消えていった。
ひゅー……んっ……。
落ちる。
落ちる。
どこまでも落ちていく。
もう何十メートル落ちているだろうか、このままだと着地と同時に俺の体がぐちゃぐちゃになるだろう。
しかも周囲が暗くて、地面まであと何メートルあるのかも分からない。
「『魔導師』のアバター! 飛行魔法を唱えてくれ!」
俺はアバターを呼び出した。
「【フライト】」
現れた『魔導師』のアバターが俺の体に飛行呪文をかけてくれた。
ふわりっ、と浮き上がる俺。
「ふう、助かった……そのままゆっくり上昇して、元の場所まで帰らせてくれ」
ばちいぃっ!
が、俺の体が上昇しかけたとたん、見えない何かにひっかかったように、全身に電流が走った。
「いててて……なんだ、これ……!?」
戸惑いつつ、俺はアバターに再度命じる。
「もう一回だ。上昇させてくれ」
俺の体が上に向かって浮き上がり――、
ばちいぃぃっ!
結果は同じだった。
また電流が走って、俺はそれ以上浮き上がれない。
「ただの落し穴じゃないのか? 上に行けない仕掛けがしてある……」
俺はしばらく考え、方針を決めた。
「よし、下に向かってゆっくりと降下して、安全に着地させてくれ」
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