13 戦いを終えて
「ふうっ、やっと倒したぁ……」
俺は着地すると、その場にへたりこんだ。
さすがに疲れた。
見れば、アリシアやグラントさんたちも一様に疲れた顔だ。
「全部を出し尽くした、って感じだな……」
俺はみんなに微笑んだ。
ごろりっ……。
カイザーミノタウロスの死体から、光り輝く石が転がってきた。
普段の魔石とは感じが違う。
「まさか、これは――」
俺はその魔石を拾い上げた。
「す、すごい! それ、『SR魔石』だよ!」
叫んだのはカチュアだ。
「Aランクの冒険者パーティが持ってるのを見たことがある……」
「へえ、これがSR魔石か」
俺はそれを拾い上げた。
「ギルドで換金しますか? それをみんなで分配ってことで――」
俺が独力で手に入れたなら、迷いなくアイテム交換に使うけど、これはみんなの力で勝ち取ったものだ。
当然、分け前は全員のもの。
「いや、そいつはお前のものだ。変な遠慮をするんじゃない」
グラントさんが即座に言った。
「お前の指揮の下でみんな戦った。そもそも、ここまで来たのもお前のアイテムの力が大きい」
「魔石があると、さらに強力なアイテムが得られるんじゃない? 君がとっておきなよ、それ」
と、カチュア。
「強いアイテムが手に入れば、あたしたちにも恩恵あるし」
マーヤが笑う。
「でも――」
「俺たち全員の意志だよ」
グラントが笑う。
「お前のために役立ててくれ。それは……俺たちにも還元されることだし、な」
「じゃあ……ありがたく」
俺はみんなに一礼した。
どしん……。
そのとき、鈍い地響きを立てて、二体のアバターが倒れた。
ヴ……ヴヴヴ……。
二体とも目が明滅している。
「どうした、お前たち?」
心配になって駆け寄る俺。
二体はほとんど身動きしない。
まさか壊れたんじゃ――。
ドキリとするが、すぐにその疑問は解消した。
「エネルギー切れ……?」
二体のアバターは胸部に紋章がある。
その色が青から赤に変わっていた。
青色の割合が少なくなればなるほど、エネルギー残量が少ない、ってことだったはずだ。
で、赤一色は完全にエネルギー切れ。
「しばらくアバターは使えないか……」
確か、こいつらは魔石を燃料にして動くということだ。
しかも、魔石を投入してから三日ほど経って、ようやく再起動可能になる。
「いい調子で来たから、もっと進みたい気持ちはあるけど――」
少し迷った。
みんなもイケイケの表情だ。
だけど、アバターが使えない以上、ここから先は厳しいだろう。
「いったん帰還しましょう」
俺はグラントさんたちに提案した。
「中ボスまで撃破したし、こっちはかなり疲労が濃い。一定の戦果を挙げた、ってことで戻るのがいいかと」
「そうだな……あまり欲張るのは禁物だ」
「一回休んで、また挑戦ね」
――というわけで、俺たちはギルドに戻ることにした。
第5章終わりです。ここまで読んでいただきありがとうございました!
第6章はしばらくお休みをいただき、10月4日(月)12時から開始予定です。
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