10 再挑戦、そして快進撃2
「行け、アバター」
俺が声をかけると、護符は空中でみるみる大きくなり、甲冑姿の戦士へと変わった。
紫色の全身甲冑、そして仮面つきの兜。
顔や手などは漆黒だ。
端的に言えば、黒い棒人形がきらびやかな鎧兜を身に付けている――という風貌だった。
アバターは巨大な剣を抜き、まっすぐに進んでいく。
キングミノタウロス相手でも臆する様子はまったくなかった。
「まあ、人形だし臆することはないか……」
と、内心でツッコむ俺。
がきいん。
キングミノタウロスの一撃を、アバターは巨大剣であっさりと受け止める。
「強い……!」
思った以上にパワーがあるらしい。
キングミノタウロスと正面から撃ち合い、押しているのは明らかにアバターである。
がきっ、がきいいいいんっ。
さらに五合ほどの攻防で、モンスターは斧を弾き飛ばされた。
チャンスと見たのか、アバターが剣を構え直す。
「【戦神の刃】を発動」
アバターが平板な声で告げた。
手にした剣が輝き、水平に斬撃を放つ。
ぐおおおおおんっ。
その一撃を食らって大きく吹き飛ぶキングミノタウロス。
壁まで叩きつけられると、力なく倒れた。
しばらくして、その体から十個近くの魔石が転がり出る。
「倒した……!」
正直、アバターには敵を引き付けたり、盾役になってもらおうとは思っていたが、それ以上の活躍は期待していなかった。
まさか、アバター単体でキングミノタウロスを撃破するとは。
「す、すごい……」
アリシアもポカンとしている。
「よし、アバターが思った以上に――というか、相当に強いことが分かったし、あいつを先頭に立ててガンガン進もう」
俺自身も強力アイテムをいくつも仕入れたし、『戦士のアバター』と『魔導師のアバター』の二体がいれば、かなり先まで進めるかもしれない。
「攻略開始だ――」
「【戦神の刃】を発動」
「【氷雪の舞】を発動」
『戦士のアバター』が輝く斬撃を繰り出し、『魔導師のアバター』が氷雪系の大規模魔法を放った。
前方のモンスター群がまとめて吹き飛ばされる。
現在、第十六階層。
二体のアバターを前面に立てつつ、俺がアイテムでフォローする陣形でここまでほとんど苦戦なしに来ていた。
「すごい……本当に強いです」
アリシアが俺に言った。
「もう、こいつらだけでいいんじゃないかな」
俺は苦笑交じりに答える。
グラントたちも似たような感想なんだろう、同じく苦笑していた。
アバターたちを前面に押し出し、俺たちは順調に進む。
そして――ほとんど苦労することなく、二十階層まで到達した。
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