3 攻略打ち合わせ
俺たちは互いに名乗り、それから本格的な相談に入った。
「モンスターが多く集まるポイントがいくつかある。そこに罠を仕掛けて一網打尽にするつもりだ」
彼らのリーダーである巨漢戦士のグラントが言った。
顔つきはごついが、理性的な雰囲気のある中年男である。
「なるほど……」
罠を使って一網打尽――というのは、俺もよくやる戦法だ。
ただ、このCランクダンジョンに関しては、まだ探索を始めたばかりで、モンスターが多く集まるポイントを把握していなかった。
「俺たちの罠じゃパワー不足で、な。お前たちの罠も併用できないか?」
と、たずねてくるグラント。
「……どうして、俺たちが罠を持っていることを知っているんです?」
「実際に見たからだよ」
答えたのはエルフ娘のカチュア。
金髪碧眼、スタイル抜群の美女――と絵に描いたようなエルフ的外見をしている。
クラスは弓術士だ。
「この間、ダンジョン探索をしているときに、君たちの戦いぶりを見かけたのさ。魔導製の罠を仕掛け、大量のモンスターをそこに誘導して一網打尽にする――鮮やかな手並みだったね。あたしは感心したよ」
前回はキングミノタウロスがいるフロアで撤退したが、そこに行くまでに何度か罠を使ったことがあった。
それを見られていたらしい。
「あの罠はかなり威力が高いよね。使い勝手もよさそうだ」
もしかしたら俺たちに声をかけてきたのも、その罠を使いたいから、という理由が大きいのかもしれない。
「ドワーフの技術でもあんな罠は簡単に作れん。興味深いな、若いの」
ドワーフのギラールが俺を見つめた。
こちらは小柄でがっしりした体格に、あごヒゲが胸元まである老人。
これまた絵に描いたようなドワーフ的外見だった。
「うむ、非常に興味深い」
「高く売れる? ねえ、高く売れる?」
たずねたのは、彼らのパーティで最年少の盗賊少女マーヤ。
赤い髪をショートヘアにした活発な印象の美少女だ。
目を爛々と輝かせ、俺を見つめるマーヤ。
「俺たちはモンスターが多く集まるポイントを知っているが、そこに行くにはちょっとした特殊スキルを使う必要があってな」
グラントが言った。
「実質、俺たちしか行けねぇ。今回は協力してもらう関係上、お前たちにも一緒に来てもらうんだが……このスキルについては口外しないでもらえるか?」
「他の奴には秘密ってことですか? 了解しました」
「あたしも了解です」
俺とアリシアはうなずいた。
「助かるよ。俺たちにとって企業秘密みたいなもんだからな」
俺たちは打ち合わせを終えると、さっそく『氷結都市のダンジョン』にやって来た。
第三階層まで下りていく。
このあたりのモンスターはまだ大した強さじゃない。
五階層を超えたあたりから急に強くなるのだ。
「ここだ」
まっすぐ続く通路の突き当たり――グラントはそこで足を止めた。
「ここって……?」
前方には壁しかない。
どう見ても、行き止まりに思えるんだけど――。
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