1 Cランクダンジョン
「こいつがキングミノタウロスか……!」
俺とアリシアは、身長10メートル近い巨大な牛頭人と向き合っていた。
キングミノタウロス。
その名の通りミノタウロスの上位種である。
全身に黄金の甲冑をまとい、身の丈を超えるほどの斧槍を構えている。
おおおおおおおんっ!
キングミノタウロスの振り下ろす斧槍が、俺たちに襲いかかった。
打撃か斬撃系のスキルを使っているんだろう、刃の部分が赤く輝いている。
スキル+キングミノタウロスの膂力――こんな一撃をまともに食らったら、肉も骨もまとめて消し飛ぶだろう。
「ちいっ……」
俺は魔剣『双竜牙剣』でその一撃を受けた。
ばきんっ……。
が、あっさりと剣がへし折れる。
「つ、強い――」
俺は大きく後退した。
「さすがにCランクですね……!」
アリシアがつぶやく。
……ここは『氷結都市のダンジョン』の第七層。
まだ中ボスが出てくるほど深い階層じゃない。
出てくるのは、通常モンスターばかり。
それでも――俺は苦戦していた。
さすがにEランクやDランクのときとは手ごたえが違う。
勝てないほどじゃないけど、アイテムの消耗が激しいのだ。
「もっと強いアイテムか、現状のアイテムをそろえないと厳しいな……」
ある程度の階層まで進んでいく前に、アイテムが尽きるのは確実だ。
まだ消耗が少ない今のうちに、いったん撤退したほうがいい。
幸い、ここまでの戦いで魔石はそこそこ手に入った。
消耗したアイテム分と新たに手に入れた魔石を差し引きすれば、わずかにプラスだ。
「引き返すぞ、アリシア」
「了解です」
――俺たちはいったん撤退することを決めたのだった。
「さすがにCランクともなると、モンスターが強くなってるな……」
「ですね……」
俺たちは食堂で一息ついていた。
ここは氷結都市ヴァーリンの冒険者ギルド内。
一階にある酒場兼食堂である。
午前中の内に、この町の外れにあるダンジョンに挑んだ俺たちは、苦戦の連続で早々に撤退してきたのだった。
「今までのアイテムじゃ、そう簡単には攻略できそうにないな」
俺はため息をついた。
「もっと強いアイテムが必要だ」
「強い……アイテム?」
「たぶんスキル【アイテム交換所】を使い続けてると、入手できるアイテムに新しいものが加わるんだ。今まではそうだった」
俺はアリシアに説明する。
「だから、しばらくは深い階層まで探索せず、適当な階層に留まって、モンスター退治をした方がいいかもしれない」
「そうやってスキルを使い続けて、もっと強いアイテムが手に入るまで待つ――ということですか?」
「そういうことだ」
前回のDランクダンジョンは一度は撤退したものの、その後はとんとん拍子に攻略した。
けど、今回は――ある程度、腰を据えてかかる必要があるかもしれない。
とにかく、俺自身がもっとパワーアップすることだ。
新たなアイテムを、身に付けて。
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