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役立たずの冒険者、スキル覚醒で得た魔剣と魔道具で世界最強に至る  作者: 六志麻あさ @『死亡ルート確定の悪役貴族2』発売中!
第5章 目指せアイテムマスター

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52/90

1 Cランクダンジョン

「こいつがキングミノタウロスか……!」


 俺とアリシアは、身長10メートル近い巨大な牛頭人と向き合っていた。


 キングミノタウロス。


 その名の通りミノタウロスの上位種である。

 全身に黄金の甲冑をまとい、身の丈を超えるほどの斧槍(ハルバード)を構えている。


 おおおおおおおんっ!


 キングミノタウロスの振り下ろす斧槍が、俺たちに襲いかかった。


 打撃か斬撃系のスキルを使っているんだろう、刃の部分が赤く輝いている。

 スキル+キングミノタウロスの膂力――こんな一撃をまともに食らったら、肉も骨もまとめて消し飛ぶだろう。


「ちいっ……」


 俺は魔剣『双竜牙剣(ゼルドファング)』でその一撃を受けた。


 ばきんっ……。


 が、あっさりと剣がへし折れる。


「つ、強い――」


 俺は大きく後退した。


「さすがにCランクですね……!」


 アリシアがつぶやく。


 ……ここは『氷結都市のダンジョン』の第七層。

 まだ中ボスが出てくるほど深い階層じゃない。


 出てくるのは、通常モンスターばかり。


 それでも――俺は苦戦していた。


 さすがにEランクやDランクのときとは手ごたえが違う。

 勝てないほどじゃないけど、アイテムの消耗が激しいのだ。


「もっと強いアイテムか、現状のアイテムをそろえないと厳しいな……」


 ある程度の階層まで進んでいく前に、アイテムが尽きるのは確実だ。

 まだ消耗が少ない今のうちに、いったん撤退したほうがいい。


 幸い、ここまでの戦いで魔石はそこそこ手に入った。

 消耗したアイテム分と新たに手に入れた魔石を差し引きすれば、わずかにプラスだ。


「引き返すぞ、アリシア」

「了解です」


 ――俺たちはいったん撤退することを決めたのだった。




「さすがにCランクともなると、モンスターが強くなってるな……」

「ですね……」


 俺たちは食堂で一息ついていた。


 ここは氷結都市ヴァーリンの冒険者ギルド内。

 一階にある酒場兼食堂である。


 午前中の内に、この町の外れにあるダンジョンに挑んだ俺たちは、苦戦の連続で早々に撤退してきたのだった。


「今までのアイテムじゃ、そう簡単には攻略できそうにないな」


 俺はため息をついた。


「もっと強いアイテムが必要だ」

「強い……アイテム?」

「たぶんスキル【アイテム交換所】を使い続けてると、入手できるアイテムに新しいものが加わるんだ。今まではそうだった」


 俺はアリシアに説明する。


「だから、しばらくは深い階層まで探索せず、適当な階層に留まって、モンスター退治をした方がいいかもしれない」

「そうやってスキルを使い続けて、もっと強いアイテムが手に入るまで待つ――ということですか?」

「そういうことだ」


 前回のDランクダンジョンは一度は撤退したものの、その後はとんとん拍子に攻略した。

 けど、今回は――ある程度、腰を据えてかかる必要があるかもしれない。


 とにかく、俺自身がもっとパワーアップすることだ。


 新たなアイテムを、身に付けて。

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