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第4章 雷鳴都市のダンジョン、攻略

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17 帰還と旅立ち

 俺とアリシアはギルドに戻ってきた。


 さっそく窓口に行き、ダンジョン踏破の報告をする。

 削り取ったダンジョンコアの欠片も提出した。


「『雷鳴都市のダンジョン』をクリアしたのですか!?」


 受付嬢が驚いた顔をしていた。


「で、では、コアの確認と報酬の準備をいたします。少々お待ちください……」


 あたふたと奥に引っ込んでいく。

 同時に周囲がざわめいた。


「あいつ、この間来たばっかりの奴だよな……?」

「しかも、たった二人で……?」


 俺に注がれる視線は、もはや『無能』扱いだったころのそれとはまったく違っていた。


 と、受付嬢が戻ってきた。

 ダンジョンコアが本物だという確認が取れたのだろう。


「はい、間違いございません。そして――ダンジョン踏破おめでとうございます」


 にっこり笑顔で報酬の金貨を出してくれた。


「あ、それと――」


 受付嬢の笑みが深まる。


「Eランク、Dランクと立て続けにダンジョンを攻略していますし、おそらく近日中に冒険者ランクが上がると思いますよ」

「冒険者ランクが――」


 おお、次はC級になるのかな?

 一気にB級――までは、さすがに行かないか。


 ただ、昇格しそうな見込みなのは嬉しい。




「次はCランクダンジョンに挑もうと思う」


 宿屋に戻ると、俺はさっそくアリシアに言った。


「一つずつランクアップ、ですね!」

「ああ。一番近いのは、北方山脈のふもとにある『氷結都市のダンジョン』だ。そこに行こうかな、って」

「異議なしです」


 うなずくアリシア。

 それから俺に近づいてきた。


「ん、なんだ?」

「出発の前に――」


 アリシアが微笑みながら、さらに体を寄せる。


 なんだなんだ……?


 俺は戸惑いながらも、胸の鼓動が高まっていくのを感じた。


 ふわり、と甘い匂いが漂ってくる。

 彼女の、香りだ。


「ア、アリシア……?」


 ここまで接近されると、なんだかドキドキするぞ……?


 目の前にはアリシアの可憐な顔があった。

 ぷるんと光沢のある唇は、どこか俺を誘っているかのように軽く開かれ――。


「もふもふ、していいですよ?」

「へっ?」

「もふもふです。その……Dランクダンジョンを攻略したお祝いに」

「あ、ああ、もふもふか? そうだよな、もふもふだよな……?」


 べ、別にやらしいこととか、俺は何も考えてないぞ!

 本当だからな!


「どうかしました、ゼノさん?」


 キョトンとしているアリシアはどこまでも無垢な感じで、俺は邪まな考えがよぎった自分が恥ずかしくなった。

 なんというか……罪悪感がある。


「も、もふもふだ! 思いっきりもふらせてもらう!」

「です。どうぞっ」


 アリシアが軽く頭を近づける。

 ぴょこん、と狐耳が可愛く揺れた。


「じゃあ、遠慮なく――」




 もふもふ。

 もふもふ。

 もふもふもふもふぅっ!




 俺は思う存分アリシアのもふもふを堪能した。




 翌日、俺たちはさっそく出立した。


 行先は、北方山脈のふもとにある『氷結都市』。

 そこにあるCランクダンジョン攻略を目指して。


 いや、さらに先にはB、A、そしてSランク――最難度のダンジョン攻略をいずれ目指して。


 俺たちの旅は、まだまだ続く。


これにて第一部完結です! ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

第二部は6月18日(金)12時から投稿開始予定です。

引き続きよろしくお願いいたします。


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