16 光との対話
「人の子よ、よくぞここまでたどり着きました」
光り輝くシルエットは体のラインからして女性らしい。
声も女性のものだ。
一体、何者なんだろう。
モンスターの類か、それとも――。
「私は女神ヴァルファリア。その意識の欠片です」
名乗る光人間――ヴァルファリア。
「ここは神の領域の一部。人がそこにたどり着けたことを嬉しく思います」
「神の、領域……?」
俺は女神を見つめた。
「このダンジョンが――?」
「いえ、世界中のすべてのダンジョンが、です」
微笑むヴァルファリア。
しかし……まさか、ダンジョンの最下層で『女神』に出会うことになるとは。
この際だ、前からの疑問をぶつけてみよう。
「以前、俺は別のダンジョンでラスボスと戦いました。そのとき、そいつに言われたんです。『神の領域に侵攻した不届き者』と」
「神の中には、人間がダンジョンに侵入することをよしとしない者もいます。ですが、私のようにそれを喜ばしいことと考える者もいるのです」
ヴァルファリアが言った。
「人間に友好的な神の力が宿るダンジョンと、敵対的な神の力が宿るダンジョンと――二つの種類がある、とお考え下さい」
「じゃあ、ここは人間に友好的……?」
「そのとおりです」
微笑むヴァルファリア。
「ダンジョンによっては、神によって『力』や『宝具』などを授かることもあるでしょう。ですが――あいにく私はあなたたちに与えられるような『力』を持っておりません。ただ祝福することしかできませんが……どうか、あなたたち二人の行く手に幸あらんことを」
まばゆい光が、俺たちを照らした。
そして――。
気が付けば、俺たちはダンジョンの入り口前まで移動していた。
「えっ……?」
「もしかして、これって――」
俺とアリシアは顔を見合わせる。
「ダンジョンの前まで戻ってきた……?」
あの女神がやってくれたんだろうか。
おかげで三十層もの道のりを引き返す必要もなく、簡単に帰ることができたぞ――。
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