11 攻略再開
「『スキル進化の間』のことを教えてくれてありがとう、アム」
「いえいえ。もふもふのお礼代わりに、ささやかな情報をお伝えしただけですから」
微笑むアム。
「あとは『スキル進化の間』が今どこにあるのかを探し当てることができれば、な……」
俺は思案した。
「ゼノさん、気にかけてくださってありがとうございます」
アリシアが礼を言った。
「でも、今はまずダンジョンの攻略をがんばりましょう」
「……そうだな」
俺はアリシアを見つめた。
「ダンジョンを出てからの話だな」
「はい」
「じゃあ、十分に休ませてもらったし、俺たちはそろそろ行くよ」
俺はアムに言って、席から立ち上がった。
「美味しいコーヒーをありがとうございました」
一礼するアリシア。
「いえ、私の方こそ極上のもふもふ体験をありがとうございます。ああ……最高だった……」
アムがポワンとした顔になっている。
俺たちはさらに下層へと進んでいく。
魔剣を、罠を、魔法弾を――いくつものアイテムを駆使し、ときには『加速魔導装置』を使い、さらにアリシアの援護も受けて。
俺たちは現在、二十九階層にいる。
「ここを抜ければ、最下層――三十階層だ」
「がんばりましょうね、ゼノさん」
俺たちは励まし合いながら進む。
さすがに疲労がたまってきたけど、もう少しだ――。
そして、俺たちは三十階層に降りたった。
そのとたん、
「――いる」
俺は足を止めて、周囲の気配を探った。
「ゼノさん……?」
「俺のカンに『ゾクリ』ってきたんだ」
危険を察知する冒険者の防衛本能――。
冒険者としての能力は平均よりずっと下だけど、いやだからこそ、この本能だけは昔から磨かれてきた。
そしてその本能にピンと来たんだ。
危険な存在が、近くにいる――と。
もちろん、ここにラスボスが待ち構えているのは分かり切っている。
ただ、その存在感や威圧感がEランクダンジョンのときとはけた違いだ。
「……っ! あたしも感知しました。近づいてきます」
アリシアが言った。
狐耳をひっきりなしに動かしている。
俺には聞こえない微細な音を感じ取っているんだろう。
ず……ん、ずし……ん。
遠くから地響きが聞こえてきた。
右方向からだ。
俺たちはそっちに向かい、物陰から前方を注視した。
「――あいつか」
まっすぐ伸びた通路の向こうから巨大なシルエットが近づいてくる。
間違いなく、このダンジョンのラスボスだ――。
【読んでくださった方へのお願い】
ブックマークや評価は今後の執筆の励みになります。まだ入れていない方も、今回のお話を機にぜひ入れていただけましたら、とても嬉しいです。
評価の入れ方は、ページ下部にある『ポイントを入れて作者を応援しましょう!』のところにある
☆☆☆☆☆をポチっと押すことで
★★★★★になり評価されます!
未評価の方もお気軽に、ぜひよろしくお願いします~!





