10 『交換所』にて
「もふもふもふもふもふぅぅぅっ!」
アムはすごい勢いでアリシアの耳と尻尾をもふもふしていた。
「あ……すみません、ついハードなもふもふになってしまいました。あまりにも手触りのよい極上もふもふだったので」
「い、いえ……ご満足してもらえたのであれば、あたしは別に」
「大満足ですっ。あまりにも満足したので、おまけでこの商品をサービスしちゃいます!」
アムが右手を掲げた。
きゅいいいいいんっ。
そこに光が集まったかと思うと、
「『1日1回魔力ブースター』~!」
小さな護符が現れた。
「これは……?」
「名前の通り、一日に一度だけ使える護符です。その効力は持ち主の魔力を大幅に引き上げること」
アムが説明する。
「ゼノ様は戦士系なので、この護符はアリシア様が持った方がいいかもしれませんね。『九尾の狐』の眷属であれば、将来的に魔力がさらに上がるかもしれませんし」
「なるほど。じゃあ、アリシアに――」
言いかけたところで、俺はアムの方を振り返った。
「ん? 今、なんて言った? アリシアが――」
「極上のもふもふだ、と言いましたが?」
「そっちじゃない!?」
思わずツッコむ俺。
「あたしが――『九尾の狐』の眷属?」
アリシアが代わりにたずねた。
「あら? もしかして、ご存じなかったのですか」
アムがキョトンと首をかしげる。
「あなたは『九尾の狐』に連なる眷属。そして『九尾の狐』とは強大な魔力を操る魔物――」
アリシアって、そんなすごい魔物の眷属なのか……!?
俺は驚いて彼女を見つめた。
「し、知りませんでした……」
アリシアは呆然としている。
「ただ、亡くなった母が『お前には秘められた力がある。世界のどこかにある『スキル進化の間』に行けば、その力が開花するはずだ』って言われて……」
「ああ、だから『スキル進化の間』を探してたのか」
納得する俺。
「もしかしたら、アリシアのお母さんは君が『九尾の狐』の眷属だって知ってたんじゃないのか? だから、その力を目覚めさせるために『スキル進化の間』へ行け、って」
「なるほど……そうかもしれません」
アリシアがうなずいた。
「前に俺が挑んでいたダンジョンに『スキル進化の間』があったんだけど、二回目に行ったらなくなってたんだよな……」
「『スキル進化の間』は一種の異空間ですから」
と、アム。
「一つ所に留まることなく、さまざまなダンジョン内を移動します」
「……アムって色んな事を知ってるんだな」
「天使ですから」
アムがにっこり微笑んだ。
天使って……物知りなんだな。
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