9 ふたたび『交換所』へ
「あ、そうだ。お店の中に入ってみませんか?」
アリシアが言った。
「ん?」
お店というのは異空間にある『アイテム交換所』のことだろう。
この間、スキルがランク2になり、単にアイテム交換をするだけでなく、『店』に直接行けるようになった。
そう、『アイテム交換所』は単なるスキル名ではなく、異空間にあるアイテムショップの名前でもあったのだ。
「こうしてアイテム一覧を見るだけじゃなくて、実際に『交換所』の中に行くと、他に何かあるかもしれません」
「他に……?」
「なんとなくですけど……じゃないと、ランク2に上がって、あの店に行けるようになった意味がない気がするんです」
「……なるほど」
『アイテム交換所』に行けるようになったこと――そこには何か『意味』とか『メリット』がある――かもしれないよな。
「行ってみるか」
告げた瞬間、周囲の景色が一変する。
一面が真っ白な空間。
そこに一軒の店がポツンと建っている。
看板には『アイテム交換所』とあった。
「あら。ゼノ様にアリシア様」
店主である美少女天使――アムが微笑んだ。
「今回はどのアイテムがご入り用ですか? それとも休憩されていきますか」
「休憩?」
「ええ、この店はアイテムだけでなく、軽食喫茶も兼ねていますので」
アムがまた微笑んだ。
「ちなみに料理は私がやります。手作りですよ」
「軽食か……」
ぐう、と腹が鳴った。
ラグナタンクとの激闘の後だからかな……。
「あたしもお腹がすきました……」
アリシアがつぶやく。
「じゃあ、休憩にするか。最下層攻略に向けて英気を養うぞ」
「賛成です!」
――というわけで、軽食タイムだ。
「うまい!」
「美味しいです!」
俺たちはアムが淹れてくれたコーヒーを飲んでいた。
ここまでの疲労が溶けていくような、絶妙な苦みだ。
「ふふ、『アイテム交換所喫茶店』特製のアムブレンドです」
アムが自慢げに言った。
「お二人とも喜んでくださって嬉しいです」
「いや、本当に美味しいよ」
「ですです」
「礼代わりにアリシアがもふもふさせてくれるって」
「ふえ?」
「あ、ごめん。冗談だ」
びっくりした顔のアリシアに謝る俺。
「冗談……だったんですか」
――って、アムがめちゃくちゃ落胆している!?
「そ、そんなにもふもふしたかったのですか」
「当然です」
鼻息が荒いアム。
「で、では、ちょっとだけ」
「いいんですかっ」
「身を乗り出しすぎじゃないか」
「だって狐っ娘のもふもふですよ!」
ますます鼻息が荒いアム。
まあ、気持ちは分かる……!
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