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第3章 雷鳴都市のダンジョン

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34/90

16 ランク2達成報酬

「突然言われても戸惑いますよね。では、分かりやすくこう考えてくださいませ」


 アムディエル――アムが上品に微笑んだ。


「ここは一種の『売店』で、私はその『売り子』、そして神が『店主』だと」

「……なんとなくイメージがつかめたような気がしなくもない」

「それは何よりです。では、さっそくですが――ランク2に昇格した記念にお渡しするアイテムがあります」

「記念?」

「達成報酬ですね。これをどうぞ」


 アムが右手を差し出す。


 そこから光の玉が飛び出し、俺の手の上に乗った。

 パッと光が弾ける。


「これは――」


 俺の手には小さな指輪が乗っていた。


「『祝福の指輪』といいます。それを身に付けると、神の加護により各種ステータスが大幅にアップします」


 と、アム。


「簡単に言えば、その指輪をはめると体力や魔力などが上昇するということですね」

「なるほど……」


 俺は指輪をつけてみた。


「んっ……!」


 力が――湧いてくる!


「分かるぞ……明らかに、俺のパワーやスピードが上がってる……!」

「単純な身体能力だけではなく、毒や呪いに対する抵抗力、器用度や幸運度などあらゆるステータスが底上げされています」


 アムが説明する。


「ただし効力は指輪をつけている間だけです。外せば、ステータスは元に戻りますのでご注意ください」

「指輪をもう一回付ければ、またステータスは上昇するのか?」


 いちおう確認しておく。

 もし違うのであれば、指輪はずっと付けっぱなしにしなきゃならない。


「ええ、一度外しても、もう一度付ければ、またステータスは上昇します。その上昇幅は二度目も三度目も……何度付け外ししても変わりません」


 アムが言った。


「今まではアイテムの力を利用して敵を倒していたけど、俺自身の能力が底上げされるのは大きいな」


 俺は指輪をはめたまま、グッと拳を握った。

 この指輪は絶対になくさないようにしないとな。


「では達成報酬を渡したところで」


 アムが俺を見つめた。


「どうされますか、ゼノ様。今回、交換したいアイテムはありますか?」

「あ、そうだった」


 肝心の用事を忘れるところだった。


「『水神と風神の杖』を」

「承知しました。では魔石R6個とブルーオーブ100個をお願いします」


 アムが言った。


「両方とも持ってきてる……って、収納エリアに入れてるんだった」

「念じれば、収納エリアからここまで移動させられますよ」


 と、アム。


「本当か? それは便利だな」


 俺は言われたとおりに念じてみた。


 魔石R6個とブルーオーブ100個が俺の前に出現する。

 空中に浮いているそれらをアムが受け取った。


「確かに。では、『杖』をお渡ししますね」


 差し出されたのは青と緑の宝玉を備えた長い杖だ。


『水神と風神の杖』。

 水属性の魔法攻撃以外を受け付けないラグナマシンへの対抗手段だった。


 よし、これでもう一度『雷鳴都市のダンジョン』に挑めるぞ――。

これで3章完結になります。4章は明日の12時から更新予定です。

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