14 ブルーオーブ入手
カイルの態度の変化には戸惑うばかりだった。
さっきまでは『冒険者風情が!』とか、明らかに見下されていたのに……。
まあ、素直に謝ってきてるし、別に俺からどうこう言うつもりはないけど。
「俺たちの目的は運搬を邪魔していた山賊を追い払うことです。目的は達しましたし、捕縛した連中はそちらにお任せしてもいいですか?」
「もちろんだ。それは我ら騎士団の仕事だからな」
うなずくカイル。
「王都に戻ったら君の活躍を報告させてもらうよ。なんらかの褒賞が出ると思うから、そのときにまた連絡させてほしい」
「褒賞……」
「この山賊は我ら騎士団を手こずらせていたからな。君の活躍は大きい」
カイルが言った。
「差し支えなければ、連絡先を教えてもらえないだろうか」
「ああ、俺は雷鳴都市の『雷撃亭』って宿屋にいます。フロントにゼノ・フレイザーの名前を出してもらえれば分かりますよ」
「承知した」
言って、カイルは部下の騎士たちや捕縛した山賊たちを引き連れ、去っていった。
よし、とりあえず目的は達したぞ。
これでブルーオーブの運搬に支障はなくなった。
「さあ、フリージアさんの元に戻ろう」
「ですね」
俺はアリシアとうなずき合った。
――というわけで、俺たちは無事に『ブルーオーブ』をフリージアさんの元まで届けることができた。
「ありがとうございました、お二人とも!」
礼を言うフリージアさん。
「さっそく『ブルーオーブ』の一部をお支払いさせていただきますわ。いくらくらい必要でしょうか?」
「えっと……ブルーオーブのサイズ大を100個ですね」
――って、これけっこうなお値段だよな。
平民が数年暮らしていける額だ。
やっぱりタダでもらうのはよくないかな。
「もちろん、差し上げますわ。繰り返しますけど、これは私の命を救っていただいたお礼です。遠慮されては、こちらが困ります」
と、フリージアさん。
「……分かりました。ありがたく受け取ります」
俺は再度礼を言って、言われたとおりの品を受け取った。
これで『アイテム交換所』で『杖』を入手できるはずだ。
ダンジョン攻略の続きと行こう。
と、
「また、どこかでお会いできますか、ゼノ様」
フリージアさんが俺を見つめた。
「そうですね……俺は普段はダンジョン探索をしているので、仕事絡みではなかなか……けど、この近くに来たときに声をかけてもらえれば、会いに行きます」
「よかった! では、またお会いしましょうね」
言いながら、フリージアさんは頬を赤らめた。
「むむむ」
なぜかアリシアが少しだけ表情を険しくする。
どうしたんだろう?





