11 山賊退治1
「ただ……一つ問題がありまして」
フリージアさんの表情が曇った。
「問題?」
「実はブルーオーブは隣国の高山地帯で採掘されたものを輸入しているのですが、最近その通り道に山賊が現れたようなのです」
「山賊……」
「高山から街道まで出るには、そこを通らないといけなくて……彼らは『通行料』と称して、私たちのブルーオーブを略奪していくのです」
フリージアさんがため息をついた。
「隣国の騎士団に討伐を要請しているのですが、彼らもなかなか腰が重くて……」
「なら、俺が討伐に行ってきます」
「えっ」
「たぶん大丈夫じゃないかと」
俺の武装は以前より強くなっている。
山賊相手くらいなら負けないだろう。
「もちろん、あたしも一緒に行きますよ、ゼノさん」
「ありがとう、アリシア」
「ですが――」
フリージアさんが心配そうな顔だ。
「大丈夫ですよ。俺たち、フリージアさんと出会ったときにジャイアントワームを倒してるんですよ? 山賊がそのジャイアントワームより強いなら、手こずるかもしれませんが……たぶん弱いですよね」
「それは、まあ……さすがに……」
フリージアさんは俺の言葉にうなずき、それから深々と頭を下げた。
「申し訳ありません、ゼノ様、アリシア様……あなた方にお礼をしたいと思ったら、かえってお手間を取らせることに……」
「いえ、『ブルーオーブ』を譲っていただけるだけで十分すぎますから! 山賊退治くらいはむしろ当然です」
そう言って、俺とアリシアはフリージアさんの邸宅を後にした。
隣国にやって来た。
高山地帯のふもとにある町へ行き、山賊の噂を聞く。
どうやら、奴らを退治するために正規の騎士団が向かっているそうだ。
それが数日前のこと。
ただ、騎士団は苦戦しているようだった。
楽勝だと思ってきたけど、俺たちで大丈夫だろうか……。
少し不安になってきたぞ。
「大丈夫ですよ、ゼノさんなら」
アリシアがにっこり微笑んだ。
「魔剣と加速魔導装置があるじゃないですか」
「まあ、そうだな……」
「あ、それに拘束用のアイテムも使えるんじゃないですか」
アリシアが言ったのは、『交換所』に新たに加わったアイテム『バインドガン』のことだ。
すでに魔石と交換して入手済みだった。
「確かに……そっちを先に試すか。駄目だったら、直接戦闘だ」
「そのときにはあたしも戦います」
「ああ、頼む」
さっそく俺たちは山賊の元へと向かう――。





