3 街道の出会い
俺たちは街道を進んでいた。
この先に目的の『雷鳴都市のダンジョン』がある。
だいたい徒歩二時間くらいだろうか。
馬車で行ってもいいんだけど、まあ歩いてもどうにかなる距離だしな。
……馬車はそれなりにお金かかるし。
と――、
ず……んっ!
突然、前方から地響きが聞こえてきた。
何人かの悲鳴も一緒に聞こえてくる。
モンスターの類に誰かが襲われているのか――?
「助けに行くぞ、アリシア!」
「了解です!」
俺たちは駆け出した。
そこにいたのは、全長十メートル以上はあろうかという巨大なムカデ型モンスター。
ジャイアントワームだ。
以前、ダンジョンで戦ったビッグワームの上位種である。
その傍には倒れた馬車と数名の人間がいた。
まるで貴族のように豪奢なドレスを着た女性と、御者や執事風の男性。
そして、一人の少女。
「フリージア様はやらせないぞ!」
その少女が長大な弓を抱えた。
見るからに強弓って感じだけど、軽々と引き絞っている。
華奢な見た目に反して、かなり腕力があるらしい。
「【連射】!」
あれは――弓術系のスキルか。
名前の通り、矢を連続で撃ち出す高速射出スキルである。
しかも使っているのは火矢のようだった。
「燃えちゃえっ!」
弓術士の少女が連続して放つ。
が、ジャイアントワームの装甲には通じていないようだ。
「この街道にジャイアントワームが出るなんて――」
少女の表情が険しくなる。
確かに、ジャイアントワームの生息場所は主に森林地帯で、こういった街道に現れることは珍しい。
「加勢するぞ。アリシアはフォローを頼む」
「分かりました」
アリシアに言って、俺はアイテムを取り出した。
魔法弾。
その名の通り、攻撃魔法の力が込められたボール型の弾だ。
大きさはだいたい手のひらくらい。
これは【アイテム交換所】で魔石R1個と交換したものだ。
いざというときのために、常時3個ストックすることにしていた。
「いけっ」
俺は魔法弾を投げ放った。
ごうんっ!
見事、ジャイアントワームの頭部に着弾し、そのまま頭全体を吹っ飛ばした。
頭部を失ったジャイアントワームはしばらくよろめいた後、盛大に倒れ伏した。
まさに瞬殺。
「やりましたね、ゼノさん」
「手持ちのアイテムが強力になってきたからな。あのクラスのモンスターでも楽に倒せたよ」
こうやって、より強力なアイテムで今までより強いモンスターを倒せば、魔石もそれに応じた量やランクのものが手に入る。
それを使って、さらに強力なアイテムをゲットし、さらに強いモンスターを倒す――いい循環ができそうな気がした。





