10 月光都市からの旅立ち
2章ラストです!
午後から、俺たちはふたたびダンジョンに潜った。
目的はアリシアが目指しているという『スキル進化の間』である。
「ここに『スキル進化の間』があるんだ」
十階層まで降り立つと、俺はアリシアに言った。
「十階層……以前に来たときは見つけられなかったんですが、ここにあったんですねー」
「ああ、俺はその部屋で今のスキルを会得したんだ」
説明する俺。
俺たちは先へ進んでいく。
「確かこの先に――」
あれ?
何もないぞ。
というか、行き止まりだ。
「どうしました、ゼノさん?」
「い、いや、この方向だと思ったんだけど……おかしいな」
俺は首をかしげて、方向転換した。
「道を間違えたらしい。悪い」
「いえ、そんな」
ふたたび進む俺たち。
だが――『スキル進化の間』は見つからなかった。
「どういうことだ……?」
わけが分からなかった。
「もしかして――」
アリシアがハッとした顔をする。
「なんだ?」
「『スキル進化の間』は常に一定の場所にあるわけではないのかもしれません」
「えっ」
「ランダムに、この階層に現れることもあれば、別の階層に――あるいは別のダンジョンに現れることもあるんじゃないかと。今さらですけど、ダンジョン内にはそういう部屋もある、って聞いた記憶があります」
と、アリシア。
「じゃあ、ここにはもう『スキル進化の間』はないのか……」
「ええ、残念ながら……」
俺たちは顔を見合わせ、ため息をついた。
「仕方ない……いったん、ギルドに戻るか」
「これからゼノさんはどうするんですか?」
たずねるアリシア。
「そうだな……別の町に行って、もっとランクの高いダンジョンに挑んでみようかな」
「ランクの高い……?」
「せっかく、こんな力を手に入れたんだし。それに今が俺の強さの上限とは思えない。きっと、まだまだ強くなれると思うんだ。ランクの高いダンジョン探索は、その鍛錬にもなるからな」
「すごいですね……」
「えっ」
「まっすぐに上を目指していく……強さを磨いていく……すごいです、ゼノさん。目標がきっちり定まっている感じです」
アリシアがキラキラした目で俺を見つめる。
「目標ってほどでも……せっかく力を手に入れたから、色々試してみたいだけだよ」
「あたしにはそんな大きな目標はありません。事情があって、『スキル進化の間』を探しているんですが……それもゼノさんみたいに立派なものじゃないです」
「俺は別に立派ってわけじゃないよ」
苦笑する俺。
「あたし、自分がどうしたいのか、どうなりたいのか……よく分かりません」
アリシアがうなだれた。
「何をやれば、か……」
俺は思案し、
「じゃあ、俺と一緒に来るか?」
「えっ」
驚いたように俺を見つめるアリシア。
「暫定じゃなくて正式に、な。俺と君でパーティを組んで、いろんな町のダンジョンを攻略していくんだ」
「! いいですね、それ!」
「じゃあ、決まりだな」
俺は彼女に手を差し出した。
「よろしく頼むよ、アリシア」
「はい、よろしくお願いします! ゼノさん!」
アリシアが俺の手を握り返す。
こうして――。
俺とアリシアのパーティが結成されたのだった。
これで2章完結になります。3章は明日の12時から更新予定です。
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