表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

11/90

3 決着と出会い

「これなら――」


 俺は即死魔法が込められた矢を放った。

 リトルミノタウロスの腕に命中する。


 ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!


 絶叫。

 そしてリトルミノタウロスの巨体が倒れた。


 よし、上手く即死魔法が発動したようだ。


 もし発動しなかったら、さっき倒した方のリトルミノタウロスから回収した魔石で、もう一度アイテムを交換して、即死魔法の矢のおかわりをするつもりだったけど――。

 うまく発動してよかった。


「ふう、死ぬかと思いました……」


 突然、声が聞こえた。


「えっ?」


 振り返ると、狐が俺を見ている。


 いや――。

 その姿が白煙に包まれたかと思うと、あっという間に十代半ばくらいの少女の姿に変化する。


 長い黄金の髪に赤い瞳。

 そして――狐耳と尻尾を備えた、絶世の美少女。


「き、君は……」


 俺は驚いた。

 狐型のモンスターかと思っていたら、獣人だったらしい。


「あ、気が抜けて戦闘モードが解けてしまいました……」


 と、狐少女。


「あたし、アリシア・ライゼルといいます。助けていただきありがとうございました」


 ぺこりと頭を下げる彼女――アリシア。


 狐耳や尻尾がぴょこぴょこと揺れていた。


 可愛い。

 見ているだけで癒されるようだ。


 俺はほっこりしてしまった。

 と、


「お前……獣人だったのか!?」


 パーティの連中が驚いた顔をしていた。

 仲間のくせに、どうやらアリシアが獣人だったことさえ知らなかったらしい。


「おい、そいつは俺たちの仲間だ。返してもらおうか」


 いつの間にか、さっきのメンバーが戻ってきていた。

 彼女をオトリにして逃げ出そうとしたくせに、リトルミノタウロスが倒れたことを知ったとたん、これか。


 なんて連中だ……。


「仲間?」


 俺は奴らをにらんだ。

 アリシアの前に立つ。


「本当にそう思ってるのか?」


 俺は気づいてしまった。


 こいつらの目に濁った欲望の色が灯っていることを。


 アリシアを見る目には、欲情がこもっていた。

 女だと気づいて、『そういう扱い』をするつもりなんだろうか。


 だとすれば、見過ごせない。


「あ? 何様だ、お前」

「彼女に聞いてみるべきじゃないか、って言ってるんだ」


 俺は退かない。


「あたしは――」


 彼女が俺を見て、それから奴らを見た。


「あの人たちのところには、戻れません」

「何!?」


 奴らが叫んだ。


「女だとバレないように過ごしていたので、今までそういう目に遭わずに済みましたが……きっとこれからは違います」

「――だな」


 俺は奴らに向き直った。


「聞いた通りだ。彼女はあんたたちの元に戻ることを望んでいない。だから渡せない」

「お前、ふざけるなよ」


 彼らがいっせいに剣を抜いた。


 ――まだぎりぎり『魔導加速装置』の効果時間は残っている。


「残り二分……か」


 速攻でカタをつけてやる!


 俺は一気に奴らとの間合いを詰めた。

 足払いをかけて、次々に転ばせる。


「えっ、な、なんだ……!?」

「は、速すぎる……!」


 よし、今のうちに一人一人拘束して――。


「離れてください!」


 アリシアの声が聞こえた。


「えっ?」


 怪訝に思いつつも、彼女の指示通りにその場から離れる。

 直後、


「【戒めの輪】!」


 アリシアの尻尾がゆらめき、そこから紫色の輝きが放たれた。

 輝きは光のロープとなり、彼ら全員に巻きつく。


「くっ、これは――」

「獣人形態になると使える魔法です。物理的な力では外せませんよ」


 と、アリシア。


 この子、魔法を使えるのか……!?


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↑の☆☆☆☆☆評価欄↑をポチっと押して

★★★★★にしていただけると作者への応援となります!


執筆の励みになりますので、ぜひよろしくお願いします!


▼こっちの新作もぜひ!▼

実家を二度追放された俺、弱小国に拾われて無双の英雄となる。
【スキル鑑定・極】が発現して、騎士や魔法使いたちの能力を片っ端から底上げしてたら、いつのまにか世界最強国家になっていたようです。




▼書籍版2巻、11/2発売です!▼

ブラック国家を追放されたけど【全自動・英霊召喚】があるから何も困らない。
jdyu5w8o6t2ae4b1hjwslwuver50_18a6_1d0_1xo_1o9ld.jpg
― 新着の感想 ―
[気になる点] 横殴りはダメでしょ・・・ ソロ冒険者なのでそういう常識に疎いのかな? 狐は使い魔か仲間かわからないけど、使い捨てにするにはスペックが高すぎる気がします。
[良い点] タイトルが面白そう [気になる点] 苦戦してはいたし、下衆だとは思うが平気で横割りしてモンスターの横取りしていいのかな。 欲情してる目をしてるからというだけで拘束してダンジョンに放置も、未…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ